強調される「全く新しい自主設計」
高速鉄道の技術を導入した後、中国は迅速に消化・吸収していった。ただし、導入先の企業について鉄道部などが多く語らなかったことを『フィナンシャル・タイムズ』は重く見ている。
たとえば、2007年に本土で組み立て製造された高速鉄道列車の発売を祝った際に、鉄道部は、それらの列車が川崎重工が提供した日本の技術プラットフォームを基礎にして製造されたものであることは語らず、外国技術の消化の上で得た国家の業績だけを強調した。鉄道部は「国有企業が標準的コストより明らかに低い価格で、高速鉄道技術を吸収することに成功した」と声高に公言した。
「川崎重工からこの列車の時速200キロの原始的技術を購入した後、川崎重工と協力したことはない」と、かつて南車四方技術センターで技術担当副社長にあたる副総エンジニアだった羅斌氏は語る。
「これはわれわれが消化・吸収した技術を基礎とする全く新しい設計だ」とも羅斌氏は胸をはって言う。「完全にわれわれの自主設計の成果であり、ボンバルディアやシーメンスとも無関係で、新幹線とはさらに関係はない」とも。
鉄道部で技術全般を担当する総エンジニアの何華武氏も、「中国は世界の高速鉄道という人類文明の成果を応用し、同時にこのレベルにおいて大幅に改良とイノベーションを進めている」と語った。
「1号機は導入、2号機から国産」という言葉は中国にはないが、高速鉄道にかぎって言えば、導入してきた技術を中国では消化・吸収ができたことは間違いない。巨大で統一した国内市場もあり、消化された技術は非常に速く国内で普及していく。これほど速く国内市場を作っていき、さらに海外にも出ていくことにはおそらく外国企業は想像できなかった。今になってはじめて、トランプ大統領は「強制技術移転」を挙げて大声で中国を批判し、301条調査を発動させようとした。
(在北京ジャーナリスト 陳言)