読売の「政権への忖度」度が際立つ 原発・石炭にみる論調

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   国のエネルギー政策の中長期的指針である「エネルギー基本計画」改定に向けた議論がスタートした。総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の分科会が2017年度内に結論をまとめる。基本計画はエネルギー政策基本法で3年ごとの改定が求められている。

   2014年に決定した現行計画は、旧民主党政権が掲げた「脱原発」の方針を変更し、原発を「ベースロード電源」と位置づけた。世論調査では脱原発が依然として多数とあって、政府は今回、「骨格を変える必要はない」(世耕弘成経産相)として議論の深入りは避け、大幅な改定は見送る方針だ。しかし、こうした「あいまい」「先送り」には、「脱原発」「原発推進」双方の立場から批判・不満の声があり、大手紙の論調も割れている。

  • 各紙のエネルギーに関する論調が割れた(画像はイメージです)
    各紙のエネルギーに関する論調が割れた(画像はイメージです)
  • 各紙のエネルギーに関する論調が割れた(画像はイメージです)

基本計画めぐる論点

   今回、8月9日の同分科会を報じた10日付の各紙朝刊は書きぶりが分かれた。日経の本記記事の前文は「再生可能エネルギーについて国民負担を軽減する観点から制度改革を求める意見が専門家から相次いだほか、原発の早期再稼働や新規増設の検討を求める声があがった」と淡々と書いたが、産経、朝日はともに、原発新増設の「声があがった」「意見が相次いだ」と書いた上で、産経は「経産省は原発の再稼働を優先し、新増設の議論には慎重な姿勢だ」と及び腰の政府に批判的トーン。

   逆に朝日は「(新増設の)新計画への明記に慎重な構えだ」と、政府の「逃げ腰」を応援する書きぶり。また、毎日は「委員からは原発政策などの再検討を求める声が相次いだ」と、新増設より原発見直しの声を前面に出した。

   計画をめぐる論点は明らかだ。まず原発と再生可能エネルギー。政府は現行計画で、2030年度の電源構成を、原発20~22%、再生可能エネ22~24%としている。しかし、現状は原発がわずか2%、再生可能エネも15%にとどまる。

   原発については、2030年目標達成には、全国42基の原発(廃炉が決まったものを除く)のうち、現在5基にとどまる再稼働を30基程度に増やす必要がある。しかし、そのためには原則40年の運転期間の延長が必要。さらに最長60年にフルに延長しても、いずれは期限がくるから、長期的に新増設が避けられないことになる。

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