銀行カードローンへの「立ち入り検査」 金融庁の「真の狙い」は?

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銀行カードローンに「3割ルール」が適用されると......

   銀行のカードローンの利用者の中にも、生活資金に困る人や、そのやり繰りで「自転車操業」に陥っている人がいないわけではない。2016年の全国の自己破産の申請件数は13年ぶりに増加。日本弁護士連合会は、その背景に「銀行のカードローンがある」と指摘しており、「年収を大きく超える金額を貸し出したり、収入のない人に融資したりした悪質な事例もあった」と、銀行に年収の3分の1を超える貸し付けをしないよう、「3割ルール」の適用を求めている。

   つまり焦点は、現行で消費者金融に適用されている、この「3割ルール」が銀行カードローンにも適用されるかどうか、金融庁がどれだけ「本気」で取り締まのか、にある。

   銀行支店長の経験がある、企業アナリストの大関暁夫氏は、「金融庁が問題視するとしたら、口座がない人やその場のATMでカードをつくれるといった、消費者金融のような売り込み方になると思います。カードローンは私も熱心に売ったことがありましたが、当時はあくまでも『家計のいざというときのため』という家計の取引強化の役割でした。最近はそのあたりが違ってきているのでしょう」と話し、「行き過ぎ」を指摘する。

   とはいえ、金融検査では実態把握に限界があるという。たとえば、最近のカードローンの中には、利用者の利便性を高めるため、貸出上限が100万円以内であれば、「給与証明書なし」でもカードがつくれる。そもそも銀行に返済能力をチェックできる証明書がないのだから、金融庁が検査で、利用者が「3割ルール」に抵触しているかどうか、確認のしようがないのだ。

   また、行員の評価項目を点検するにも、基本的に行員がセールスする取引先はすでに何らかの取引がある先だ。取引があれば、その人の返済能力もある程度はわかるはず。

   大関氏は、「問題となる多重債務者と銀行カードローンの利用者層とは少し違うように思う」としたうえで、「金融庁も銀行への規制をあまり強めると、銀行から借入れできなくなった人がヤミ金に流れるなど、現状よりさらに悪い事態招くことはわかっているはず。規制強化より、過度な広告や営業活動を控えるよう指導していくのではないでしょうか。そう考えると、今回の検査は『抑止力』の意味合いが強いのかもしれません」とみている。

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