政府は、小中学校や高校の夏休みの一部を別の時期に移し、自治体が独自に大型連休を作る「キッズウイーク」を2018年度から実施する方向で検討を始めた。親が子供の大型連休に合わせることで、有給休暇を取りやすくしようという狙いとされる。ただ、毎月月末の金曜日に早期の退社を促す「プレミアムフライデー」も盛り上がらない中、政府主導の相次ぐイベント導入には冷ややかな視線が少なくない。
反対が賛成を上回る
キッズウイークは、例えば公立学校の夏休みを5日間短縮し、別の時期の平日などに移して、前後の土日曜と合わせることで9連休とすることなどを想定している。
日本の有給休暇の消化率は他の先進国と比べて低く、フランスでの消化率が100%に対し、日本では50%程度との調査結果もある。政府は有給休暇の消化率を増やすことで、「働き方改革」に続く「休み方改革」を進めようともくろむ。一方、長期休暇のない秋などにキッズウイークを作れば、夏休みなどに集中する国内旅行が分散される効果も期待できるとし、旅行にかかわる消費喚起にもつなげたい意向だ。詳細は今年度中に詰める予定だが、安倍晋三首相は「働き方改革と表裏一体の休み方改革でもある」と訴えており、本腰で望む構えといえる。
ただ、キッズウイークの評判は芳しくない。DeNAトラベルが6月にインターネット上で20歳以上の男女約700人に対し行ったアンケート調査によれば、キッズウイークに「賛成」「やや賛成」が計28.6%だったのに対し、「反対」「やや反対」は計31.1%でやや上回った。導入された場合、有給休暇がとれると思うかとの質問に対しては、「取れると思う」が26.4%だったのに対し、「取れないと思う」が35.3%、38.3%は「分からない」だった。
賛成の理由としては「何か理由がないと休暇を取得しにくい」などがあったのに対し、反対の理由では「子供の休みに合わせて休みは取れない」「派遣社員なので休むと給料が減ってしまう」などが上がった。
実効性のある政策を
キッズウイークへの期待はそれほど高くないうえ、導入されたとしても実際に取得できるかについては不透明な状況であることがわかる。2月に始まったばかりのプレミアムフライデーも初回こそにぎわったものの、その後は低調な状況が続いている。その理由として「会社が一番忙しい月末の金曜日に早く帰れるわけがない」「取引先が休まないのに、自分たちだけ休むわけにいかない」などの声が多く上がっている。たとえ政府が音頭を取っても、実際の環境が整っていない中で簡単に休暇取得などできないといった事情はにわかに変わらず、キッズウイークでも同じような状況に陥る可能性は少なくない。
あるエコノミストは「政府は単にイベントを呼び掛けるだけでなく、実際の環境に照らした実効性のある政策を考えた方がいい。プレミアムフライデーも検証し直すべきだ」と訴えている。