民進党の臨時党大会が2017年9月1日に開かれ、新代表に前原誠司氏が選出された。前原氏は「政権交代をめざす」と繰り返し、「挙党体制をつくる」としたが、具体論は乏しかった。
党内人事については、自身に近い議員で固めるか、幅広く募るかという大方針も含めて「これから考える」との返答に終始した。
「厳しい船出になる」
新代表あいさつで前原氏は「今この場で『政権交代」』と言っても、国民は『何を言ってるんだ』という状態になる。しかし自民党しか選べない、こんな政治状況は我々の手で変えなくてはならない」と決意を述べた。それに向け「国民のためにすべて捧げて働く」「決意と覚悟持って、難しい局面を国民のために切り開く」と続けた。
一方、記者会見では「人事含めて挙党体制どう築くか」との質問に「先ほど代表に選出されたばかりなので、人事はこれから考えていく」とするにとどめた。さらに「自身に近い立場を多くするか、対立する立場からも入れるか、具体的な人名でなくとも挙党体制の大きな方針は」と聞かれても「人事はこれから検討する」とだけの返答だった。
投開票では、国会議員票のみ142人の投票者のうち「無効票」が8票あった。この白票の多さに前原氏は「厳しい船出になる」と党のまとまりの無さを痛感。さらに、前原氏と枝野幸男氏という、旧民主党時代を色濃く受け継ぐ2人から新代表を選ぶことに否定的な「若手議員の抗議の意思の表れではないか」との見解も報道陣から出ていた。
蓮舫前代表との違いは?
蓮舫前代表は自身の「二重国籍問題」で揺れに揺れ、党支持率低下をもたらしたとの見方が強い。支持率回復へ前代表とどう違いを打ち出すか、との質問に前原氏は「蓮舫代表時代に私が会長を務める調査会をつくり、我々がめざす社会像を1年間検討してきた。これをベースとして新たな体制をつくる」とだけ述べ、明確な違いは示さなかった。
任期が切れる1年3か月後の2018年12月までに衆院総選挙が行われるが、「マニフェストでどういう社会をめざしていくか、国民に分かりやすいものを打ち出していきたい」とだけ話した。また、今年10月22日には青森・愛媛・新潟で衆院補欠選挙が行われる。前原氏は代表選中、野党共闘について、理念・政策の一致を重要視し「是非を含めて見直していく」としていたが、補選まで2か月を切っている中で野党との協力体制について「このタイミングで(判断する)とは決めていない」と曖昧だった。
前原氏は旧民主党の代表だった06年、ニセのメールを元に自民党の小泉政権を追及した「にせメール事件」の責任を問われて辞任。また、旧民主党政権で国土交通相をつとめていた09年、当時地元との長い交渉の末に事業化の折り合いがついた「八ツ場ダム」の「建設中止」を唐突に決定。党内外や地元関係者から大きな反発を招いた過去もある。そうした「負の経験」を生かして今後、「政権交代」へ向けて用意周到で計画的な党運営ができるか、手腕が問われる。