加工食品の原材料の原産国表示は、これまで一部の品目しか義務づけられていなかったが、2017年9月1日から国内で作られる全加工食品に表示が義務づけられた。
しかし、事業者の負担を考慮して例外が認められるなどしたため、消費者にとってわかりにくいという指摘が多くのメディアから出ている。
単に「輸入」とか「その他」を認めるなんて...
食品表示基準の新ルールを推進している消費者庁のウェブサイト「加工食品の表示に関するQ&A」によると、これまで加工食品の原産国表示が義務づけられていたのは、「うなぎのかば焼き」「漬け物」など22の食品群と4つの品目に限られていた。新制度では原則として国内で製造・加工したすべての加工食品に原材料の原産国の表示が義務づけられた。ポイントは次のとおりだ。
(1)事業者の負担を考慮し、原産国が複数ある場合は、使っている材料が重い順に「A国、B国」などと表示することを基本とする。たとえばロースハムは、原材料のほとんどを豚ロース肉が占めるため、重い順に「豚ロース肉(米国、カナダ)」などと表示する。
(2)しかし、原産国が3つ以上ある場合は、3か国目以降は「その他」と記載する例外も認める。たとえば、ソーセージなら「豚肉(アメリカ、カナダ、その他)」など。また、国名を全部省略して「輸入」あるいは「輸入または国産」などと表示する例外も認める。
(3)気候や相場変動などで原料を仕入れる国が頻繁に変わったり、重量の順位が変わったりする場合は「A国またはB国」「米国または国産」などと併記する例外も認める。
(4)加工食品自体を原材料に使う場合は、加工した国を表示する。例えば、中国から輸入したあずきを北海道であんに加工、これを原材料に使った「あんパン」の場合、あんは「北海道製造」または「国内製造」などと表示する。
新制度は、4年以上の移行期間を設けており、準備が整った業者から新基準に沿った表示にし、2022年4月までに完全施行され、全業者が表示を切り替える。混乱する消費者が多く出ることが予想されるため、消費者庁は9月1日から「Q&A」をホームページで公開した。