6大会連続ワールドカップ(W杯)出場を決定づけたのは、「新星」のFW浅野琢磨とMF井手口陽介だった。
浅野はリオ五輪を経験した22歳。井手口は代表出場わずか3試合目の21歳。若き2人が大一番でのスタメン大抜擢に見事応えた。試合前からスポーツ紙などではスタメンが有力視されていた。
右ウィングに浅野、中盤に井手口
勝てばロシアW杯出場が決まる2017年8月31日のアジア最終予選・オーストラリア戦、メンバーはこれまでと様変わり。4-1-4-1の右ウィングに浅野、左ウィングにFW乾貴士(29)。中盤でMF山口蛍(26)とのコンビを任されたのは井手口だった。
先制点を決めたのは浅野。前半41分、DF長友佑都のクロスボールに逆サイドから鋭く反応し、相手DFラインの裏に抜け出すと、ダイレクトのインサイドキックはきれいにゴールに吸い込まれた。
勝利を決定付けたのは後半37分。途中出場のFW原口元気からペナルティエリア前でパスを受けた井手口が、相手DFに囲まれながらもカットイン。右足を振り抜くとGKの手をかすめながらゴールネットに突き刺さった。2-0で勝利した日本はW杯出場が決定した。
試合後に井手口は「枠に入ればいいかなと思ったが、そのまま入って良かった」と落ち着いてゴールシーンを振り返り、「こういう大舞台で監督に使ってもらった。結果を残す思いで試合に臨んだ。気持ちがゴールにつながった」と語った。
浅野「もう(自分たちは)若い世代ではない」
浅野も「逆サイドでボール持っていたので狙っていた。佑都さんがすごくいいボールを出してくれたので、合わせるだけだった」と謙遜した。「逆サイドをつくのは僕の特徴、そこでしか日本代表に貢献できない」と持ち味を発揮した。点を決めたのは22歳と21歳の2人。浅野は
「僕たちの世代が底上げしないといけない。もう(自分たちは)若い世代ではない。上の世代をどんどん脅かしていきたい」
と闘志をたぎらせた。
浅野と井手口は31日のスポーツ紙各紙でもスタメン予想されていた。代表経験の少ない2人を大一番で起用するのは「大博打」ともされていたが、采配が的中した。
ハリルホジッチ監督は24日のメンバー発表時、「井手口はここ最近安定したプレーを見せている。我々は選手のプレーを見て評価しているが、その中で最も高い評価を得ていた。ボールを奪いにいける選手だと思う。積極的にデュエル(1対1の強さ)にいける。右足でも左足でもパスを出せる」と高評価。その上で
「若い選手に表現の場を与えるのは恐れていない」
と発言。結果として、指揮官にとっては「博打」ではなかったのかもしれない。