世界的なダンサーのセルゲイ・ポルーニン氏が2018年春に「来日公演」を行うとする、ある会社のネット上の情報をめぐり、混乱が広がっている。
この「公演」については、関係者から「架空公演」だとする注意喚起が行われている。J-CASTニュース編集部が、興行主を名乗る会社にメールで取材を申し込んだところ、返事が戻ってきた。そこに書かれていた内容は......
「チケットを購入しないように」と注意喚起も
「2018セルゲイ・ポルーニン ショータイム日本公演」と題された来日公演の情報は、2017年8月28日、「興行主」のフラッグシップ・ジャパン(東京・港区)が、自社サイトやツイッター、フェイスブック(FB)で「告知」した。告知内容によると、2018年4月9・10日に東京のオペラシティコンサートホールで行うほか、地方公演も予定され、本人のパフォーマンスやトークコーナーの実施も記載されている。
当初から、ツイッターなどでは「何だか心許ない感あり」「本当なのか?大丈夫なのか?」といぶかしむ声があがった。また、チケット代金の振込先が会社の銀行口座、座席は入金のあった人から先着順など、不可思議な点も指摘されていた。しかし、東京公演はチケット先行販売がすでに開始されており、購入済みの人を中心に混乱は徐々に大きくなっていった。
そんななか、現在上映中のポルーニン氏のドキュメンタリー映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」を宣伝・配給するアップリンクの浅井隆代表が自身のツイッターを通じて29日、
「ロンドンのエージェントから『嘘の情報に惑わされず、チケットを購入しないようにしてください』と言うメールが届きました」
「(主催元から)返信、返金がない場合は、セルゲイ・ポルーニンのエージェントはこれは詐欺ですと言ってますので、しかるべき機関にご相談ください」
などと注意喚起し、同社が運営する情報サイト「webDICE」で事の経緯を説明した。
「追って詳細を発表させていただくことになりましたので、お待ち下さい」
こうした混乱を受け、フラッグシップ・ジャパンは31日にフェイスブックとツイッターを更新して騒動を謝罪。加えて、
「公演については再度詳細を発表させていただきます」
とコメントした。キャンセル・返金の希望にも応じるという。31日夕現在、公式サイトからは公演情報も削除されている。
実際に公演は行われるのか――J-CASTニュース編集部が31日、同社サイトに記載されている電話番号にも何度もかけたが、「ただいま電話に出ることができません」という音声になり、留守番電話につながる状態だった。メールで取材を申し込んだところ、約30分後、
「お騒がせしており、申し訳ございません。 本件については、追って詳細を発表させていただくことになりましたので、お待ち下さい」
とだけ回答が返ってきた。「追って発表」の時期のめどなどについて、メールで追加取材を申し込んだが、こちらには31日19時30分現在、返答はない。
ポルーニン氏は1989年生まれ、ウクライナ出身。2010年に19歳で英国ロイヤル・バレエ団の史上最年少プリンシパルとなったが、2012年に突如引退して世間を驚かせた。現在はダンサーや俳優として活動するほか、ダンサーを支援する組織「プロジェクト・ポルーニン」を主宰している。