著名なトランペッターの日野皓正さん(74)が指導中の男子中学生を往復ビンタするなどしたとみられる問題は、中学生にも問題があるのではないかとの声がネット上で相次いでいる。
舞台の隅の方向から歩いてきた日野さんは、ドラムを叩いていた中学生の背後から中学生の両手をつかみ、スティックを取り上げる。中学生の左頬を叩いたかのような仕草をした後、スティックを隅の方向に放り投げて...。
スティックを取り上げても、演奏を止めず...
これは、週刊新潮が2017年8月30日、ウェブ版記事にアップした動画の冒頭部分だ。
日野さんは、東京都世田谷区教委が取り組む体験学習に音楽面で協力しており、20日は、指導中の中学生約40人でつくるジャズバンドが4か月間の練習成果を披露するコンサートが区内で行われていた。会場には、父母ら約600人が詰めかけ、演奏がほぼ終わって、アンコールの時間になったときにトラブルが起きた。
40秒ほどの動画を見ると、日野さんが、スティックを放り投げたときは、客席からは笑い声が上がった。舞台の演出だと思ったらしい。
しかし、中学生は、それでも素手でドラムを叩き続ける。「止めろ!」。日野さんは、そう叫ぶと、今度は中学生の前の方から近づいて、中学生の髪の毛を右手で引っ張り、ビンタのような仕草をした。そして、「何してる!」と声を上げて、中学生に周りを見るよう促す。日野さんは、中学生を手で押すなどしてから、何か声を上げながら、いきなり左頬を叩き、続いて右頬を叩く往復ビンタの仕草をした。
「何だ! その顔は?」と日野さんが叫ぶところで、動画が終わっている。
週刊文春なども今回の問題を報じており、それらの報道によると、日野さんは、中学生を舞台から外した後に、アンコールの演奏を続けたという。
世田谷区教委は、指導を改めるよう求める
中学生がドラムを叩いていたときは、ほかのメンバーは演奏をせずに中学生の方を見ていた。中学生はこのとき、ソロタイムの時間だったといい、報道によると、中学生がなかなか演奏を止めないので、日野皓正さんが制止しに入ったという。中学生は、ドラムが上手だといい、演奏に夢中になっていたとの見方もある。中学生は、ドラムを止めなかったことを反省しているという。中学生にけがはなかった模様だ。
日野さんの「往復ビンタ」について、世田谷区教委は、マスコミ取材に対し、「行き過ぎた指導」があったと認めた。今後については、改めるように日野さんに求めたが、日野さんの指導は続けてもらう意向だとも報じられている。
ツイッターやニュースのコメント欄などでは、日野さんが中学生に手を出したことについて、「軽率なんじゃないかな」「きつい指導はお客さんの前でやっちゃダメだな」「普通に退場させれば良かったんだろうな」などと厳しい指摘が出た。
一方で、日野さんが厳しく対応したのは理解できるとする声はかなり多く、「なんだ、悪いのは中学生の方か」「叱ってくれるだけありがたいと思わないと」「これは日野さん擁護ってか同情するよ...」などと書き込まれている。