9月1日。日本の広い地域で小学校・中学校・高校の夏休みが終わり、2学期が始まる日。そして、「子どもの自殺が最も多い日」でもある。
最近広く知られるようになった、この「9月1日問題」に関連して、2017年もさまざまな機関、人物が、「辛ければ、学校から逃げても構わない」というメッセージを発信している。広がる、大人たちからのメッセージをまとめた。
上野動物園「もし逃げ場所がなければ...」
「学校に行きたくないと思い悩んでいるみなさんへ」
夏休み終盤の2017年8月30日、上野動物園の公式ツイッターは、動物の生態にからめながら、こんな一文を投稿した。
「アメリカバクは敵から逃げる時は、一目散に水の中へ飛び込みます 逃げる時に誰かの許可はいりません。脇目も振らず逃げて下さい もし逃げ場所がなければ、動物園にいらっしゃい。人間社会なんぞに縛られないたくさんの生物があなたを待っていますから」 この投稿は相次いで拡散され、31日14時時点で3万件以上のリツイート、4万5000件を超える「いいね」が寄せられている。
「休みがもう終わる、学校に行きたくないなあ」――そんな憂鬱は、多くの人が一度は感じたことがあるはずだ。だが、いじめなど学校での深刻なトラブルを抱える子どもたちにとっては、それは文字通り「死活問題」となりかねない。
内閣府が2015年に発表した「自殺対策白書」は、1972~2013年のデータから、18歳以下の自殺が最も多いのは「9月1日」(1万8048人中131人。平均の約2.6倍)だと報告した。夏休み明けのプレッシャーや精神的動揺が、その要因だとされる。
この年の8月26日には鎌倉市図書館がツイッターで子どもたちに向けて、
「もうすぐ二学期。学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。マンガもライトノベルもあるよ。一日いても誰も何も言わないよ。9月から学校へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら、逃げ場所に図書館も思い出してね」
というメッセージを発したことが社会的な反響を呼び、「9月1日問題」が多くの人に知られるようになった。