米プロレス団体はCMで注意喚起
プロレスラーが繰り出す大技を、「素人にはとてもできない」と理解したうえで観戦しているなら問題ない。だが、例えば幼い子どものように考えがそこまで至らないと、つい格好よさに魅力を感じてまねをしてしまいがちだ。未熟な「プロレスごっこ」が、取り返しのつかないけがにつながる恐れがある。
毎日厳しいトレーニングを積んでいる本職のプロレスラーですら、深刻な事故が起きている。2017年だけでも、新日本プロレスの試合中に本間朋晃選手が中心性頸髄損傷、柴田勝頼選手は硬膜下血腫で手術となった。幸い2人とも快方に向かっているが、一時は容体が心配された。細心の注意を払っているはずのレスラーでも、危険と隣り合わせだ。まして何の練習もしておらず、形だけをまねるのは危なすぎる。
米プロレス団体WWEは、試合をテレビ中継する際にコマーシャルで視聴者にレスラーの大技をまねしないよう警鐘を鳴らしている。「DON'T TRY THIS AT HOME, SCHOOL OR ANYWHERE」(家でも学校でも、どんな場所でも決してやらないで)とのキャッチフレーズで、何年にもわたって注意喚起を続けている。「厳しい練習に耐えたWWEのスーパースターでも、無敵ではない。本当のリスクを負い、信じられないほどの痛みに耐えている。骨折に筋肉断裂、脱臼――」。画面には、筋骨隆々のレスラーが痛みにもだえ苦しむ姿が映し出される。これを見て、事故につながるような振る舞いに自らブレーキをかけてくれというわけだ。