「片づけられない」症候群はビョーキ セルフネグレクト、ADHD、認知症

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【健康カプセル ゲンキの時間】(TBS系)2017年8月27日放送
片づけられない原因と対策・ADHDとセルフネグレクト

   部屋の中を片づけられない人は想像以上に多いようだ。散らかり放題の家の中でいかにアブナイ生物が大発生し健康に悪いか、番組ではリアルな映像で見せた。

   また、片づけられないことが、単に「いい加減な人」という個人の性格の問題ではなく、もっと根深いビョーキであることとその対策も紹介する。

  • 玄関まで散らかり放題
    玄関まで散らかり放題
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ダニが30倍増、あの嫌なムシも猛繁殖

   番組では冒頭、都内に住む信子さん(58)宅を訪ねた。一戸建て住宅に夫と2人暮らし。「片づけられない女」を自ら認めるだけあって、家の中は文字どおり「足の踏み場がない」散らかり放題。玄関は段ボール箱が山積みで、番組スタッフは中に入るために庭から上がらなくてはならなかった。スタッフが「どうしてこんな状態に?」と聞くと、信子さんはこう答えた。

信子さん「夫婦そろって買い物好きで、物を集めるのが大好き。片づけるのが面倒で、後回しにしているうちに要らない物がたまってしまいました」

   家の中には買った品々が使われずに包装された状態で山積みされている。また、夫が好きな観葉植物が数十個、置かれている。生物アレルギーの権威で相模原病院特別研究員の川上裕司農学博士が、家の中のダニの生息数を測定すると、一般家庭の約30倍という恐ろしい数字が出た。

川上博士「片づけないことがもちろんですが、この観葉植物がよくありません。植物が出す湿気で湿度が70%以上になっています。ダニやカビは気温25度以上で、湿度が70%を超えると猛烈に増えるのです」

   また、もう1つ危険な生き物が猛繁殖していた。段ボール箱や古本の間から1ミリほどの小さな虫がゾロゾロ出てきた。「チャタテムシ」だ。チャタテムシは古い紙に生えるカビを食べる。チャタテムシ自体がぜん息などのアレルギーを引き起こすばかりか、糞や死骸もアレルギー源になる。また、コメが大好きで、よくコメ袋の中に大発生する。さらに、チャタテムシが増えると、チャタテムシを食糧にするツノダニという狂暴なダニが増える。ツノダニは人間を刺すばかりか、吸い込んで肺の中に入ると、重症の肺炎を引き起こす厄介者だ。

昔のカレンダーを貼りっぱなしは要注意

   それにしても、こんな状態になるまでなぜ片付けないのか。東邦大学看護学部の岸恵美子教授が、信子さんの精神状態をこう説明した。

岸教授「嫌なこと(片づけること)を後回しにするという症状は、『セルフネグレクト』(自己放棄)だと考えられます。セルフネグレクトとは、人が生きるうえで最低限必要な行為(食べる・入浴する・清掃するなど)をしない、あるいはできないことです。セルフネグレクトの人の7割は部屋が散らかっているという調査があります。また、孤独死する人の8割がセルフネグレクトという報告があります」

   セルフネグレクトになるきっかけには次のような理由があるという。

(1)転職やリストラ、引っ越しなど環境の変化。
(2)多忙。
(3)失恋や人間関係のトラブル。
(4)病気、ケガ、配偶者など親しい人の死亡。

   「セルフネグレクト予備軍」は自己チェックできる。次の4つのうち当てはまる数が多いほど要注意だ。

(1)昔のカレンダーが貼りっぱなし。
(2)いつか捨てようと思いながら、ついゴミをためてしまう。
(3)冷蔵庫に賞味期限切れの物が複数ある。
(4)トラブルを相談せずに、いつも自分で解決しようとする。

   ここで、番組アシスタントのタレント、春香クリスティーンさんが素っ頓狂な声を上げた。

クリスティーンさん「私、全部あてはまります! 今も玄関にゴミ袋がおいてあるし、まだ、去年のカレンダー使っています!」

   クリスティーンさんはかつて、「部屋は散らかり放題で、バッグにゴミを詰めて、ホテルや放送局のゴミ箱に捨てている」とか「トイレの床はヒンヤリして気持ちがいいので、頬をつけて寝ています」などという「汚部屋エピソード」をテレビで披露して話題になった人だ。

MCの三宅裕司「もう8月だよ。今年のカレンダー出しなさいよ。何か、悩むことでもあったわけ?」
クリスティーンさん「スイスから越してきて、慣れるまで大変でした」

   高齢者の場合は認知症のケースを心配する必要がある。市ヶ谷ひもろぎクリニック精神科診療部長の本郷誠司医師が、こんなクイズを出した。

本郷医師「認知症の人が片づけられない理由は次のうちどれでしょうか。『どこから片づけていいかわからない』『部屋が散らかっていても気にならない』『部屋を片付けたくても、片づける意欲がわかない』。正解は『部屋が散らかっていても気にならない』です」

   認知症の人は、部屋が散らかっていること自体理解できないため、片づける気にならないのだ。認知症の人の家を片づけるコツは、まず玄関をスッキリさせること。玄関を物がふさいでいると、外に出る気が起こらず、気持ちが内側にこもる。まず心を外に向けさせることが大切だからだ。

大掃除をするなら年末より秋がオススメ

   一方、「どこから片づけていいかわからない」タイプも多い。こういうタイプには、大人のADHD(注意欠如多動性障害)の人が多いという。

本郷医師「ADHDの人は落ち着きがなく、気が散りやすいのが特徴です。そのため、片付けが苦手の人が多いのです。最初、本棚を片づけ始めていたのに机も片づけなきゃと思う。机を片づけていたら床も...といったように次々に注意が移り、結局、半日かけても何も終わらないということがよくあります。ADHDの人は、常にメモ帳を持ち歩いて、大切なことは色や図を書いて工夫するといいです。また、なくしやすい物は場所を決めておくといいです」

   最後に冒頭に登場した「ダニやカビ」専門家の川上裕司博士が、片付けが苦手な人に、こうアドバイスした。

川上博士「どうせ大掃除をするなら、現在の熱い夏や忙しい年末ではなく、秋にするとよいでしょう。6月から8、9月にかけての季節は、どんなに掃除をしてもダニやカビが猛烈に増加します。彼らの糞や死骸が大発生するのは10月ごろです。その時に集中して大掃除をするのがもっとも効果的です」
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