【この差って何ですか?】(TBS系)2017年8月22日放送
「『誤嚥性肺炎になりやすい人』と『なりにくい人』の差」
日本人の死因第1位が「がん」なのは広く知られているだろうが、3位に「肺炎」がランクインしているのはご存知だろうか。年間約12万人が肺炎で命を落としている。
中でも注意したいのが、加齢でリスクが高まる「誤嚥(ごえん)性肺炎」だ。メカニズムやかかりやすい人の特徴を知り、予防に努めよう。
男性の方がかかりやすい
食べ物を飲み込むと食道を流れていくが、これは食道の前にある気道の入り口の「喉頭蓋(こうとうがい)」というふたが閉じ、気道に流れるのを防いでいるからだ。
喉頭蓋が正常に動かなくなると肺に食べ物が入ってしまう。これが「誤嚥」だ。誤嚥すると食べ物と一緒に肺に細菌が入り、肺炎になる可能性が高まる。
患者の比率は、男性7割、女性3割で、男性の方がかかりやすい。西山耳鼻咽喉科医院の西山耕一郎理事長によると、しゃべると喉の筋肉が鍛えられ、飲み込む力も鍛えられるので誤嚥しにくくなる。女性はよくしゃべる人が多いが、男性は歳を取るとだんだんしゃべらなくなりがちなので、誤嚥性肺炎を起こしやすいそうだ。
カラオケが予防につながる
食事の際に気を付けたいのが「最初の一口目」だ。
みそ汁などの汁物から始める人は多いだろうが、実は危険。最初の一口目は喉の筋肉が飲み込むのに慣れていないため、喉頭蓋が閉まるタイミングが遅れがちだが、液体は早く流れ込んでしまうので、喉頭蓋が閉まる前に気道に入ってしまうおそれがある。
めん類も危ない。めんをすする時は息を吸っている時と同じ状態で、常に喉頭蓋が開いているため、誤嚥しやすい。
一口目に食べるのは、納豆、とろろ、生卵、あんかけなど、ネバネバ、トロトロしたものが安全だ。
しゃべっている時は喉頭蓋が開いているので、会話しながらの食事も避けよう。
むせてしまった時は、上半身を気管が水平になるくらい十分に倒してせきをすると、気道に入った食べ物が出てきやすい。水を飲むと、より気道に入りやすくなってしまう。
喉の筋肉は40歳くらいから衰え始める。鍛えるのに有効なのは「カラオケ」だ。
特にキーの高い曲を歌うと、喉がより引き締まって鍛えられる。
カラオケは苦手、行く機会がないといった人は、「嚥下(えんげ)おでこ体操」をするとよい。
手のひらの下半分をおでこに当て、へそをのぞきこむように頭を下げる。手のひらは頭を押し上げるように力を入れ、頭と手のひらが押し合っている状態を5秒間キープする。1日5~10回行おう。