北朝鮮の核「いったん容認しなければ...」論 青木理氏ら「対話」の前提めぐり論議

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   北朝鮮と対話する場合、「いったんは核(兵器)を持った北朝鮮を容認しなければならない」。そんな考えをジャーナリストの青木理氏らが示している。北朝鮮が2017年8月29日朝、日本上空を通過する弾道ミサイルを発射したのを受けての発言だ。

   北朝鮮の「核放棄」は10年以上前から6か国協議で採択されており、国連安全保障理事会でも17年8月5日(現地時間)、北朝鮮への経済制裁を決議したばかりだ。

  • 青木理氏(2016年3月撮影)
    青木理氏(2016年3月撮影)
  • 青木理氏(2016年3月撮影)

「『核放棄』を前提に話し合いを進めようとするのは、もはや手遅れ」

   ミサイルは日本上空を通過し、襟裳岬東方の太平洋上に落下。Jアラート(全国瞬時警報システム)が発射と通過の情報を送信したこともあり、北朝鮮の核・ミサイル兵器の脅威がいっそう現実味を帯びて日本に伝わった。

   29日放送の「羽鳥慎一 モーニングショー」(テレビ朝日系)では今回のミサイル発射を受け、北朝鮮の核兵器保有を認めるか認めないかについて議論がなされた。北朝鮮情勢に詳しい政治学者・武貞秀士氏は「米国が北朝鮮を核保有国として認めることは絶対にない」としつつ、北朝鮮の核・ミサイル開発のスピードがはやく、兵器の精度も高まっていることから、「『核放棄』を前提に話し合いを進めようとするのは、もはや手遅れ」と主張。その上で

「北朝鮮は核兵器を持ったままで使わせないようにしながら議論し、戦略として最終的に放棄してもらう、とせざるを得ないのではないか」

との姿勢を示した。

   また青木氏は、北朝鮮のミサイル発射方向が8月に計画を発表していたグアムではなかったことなどから「米国と話し合いをしたいというメッセージもあるのだろう」と推量。ただし、「北朝鮮は『核を放棄して話し合いはしない』と言っている」「米朝対話は必要だが、日本も、韓国とも歩調を合わせて北と対話する」とし、

「その場合、いったんは核を持った北朝鮮を容認しなければならない、ということがある」

と主張した。テレビ朝日解説委員の玉川徹氏も「北朝鮮の核を認めざるを得ないか、認めないとしたら軍事措置もあるのか、その両極。日本にとってどちらがいいのか」と言及した。

ライス元米大統領補佐官「我々は北朝鮮の核兵器を容認できる」

   「核なき世界」を掲げた米オバマ政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)をつとめたスーザン・ライス氏も、北朝鮮の核容認論を唱えた。8月10日付米ニューヨーク・タイムズ紙への寄稿で「必要であれば、我々は北朝鮮の核兵器を容認できる」と主張。「歴史的に見れば、冷戦時代に旧ソ連の何千という核兵器の脅威を容認したのと同様だ」としている。また、「金正恩氏が政権存続のために不可欠と考えていることから、北朝鮮が保有する兵器を放棄する見込みはほとんどない」とも記述している。

   ただ、現在トランプ政権で大統領補佐官をつとめるハーバート・マクマスター氏は米テレビ局ABCの番組出演時、こうしたライス氏の主張を否定した。発言を書き起こした8月13日付の同局のサイトによると、「彼女(ライス氏)は正しくない。彼女の主張は現在の北朝鮮の政権にどう適用できるのか。大量破壊兵器による脅威を、北朝鮮の近隣諸国に継続的に与え続けるのか。そうなればいずれ、米国にも直接的な脅威を与えることになる」などとし、北朝鮮の核保有を認めない姿勢を示している。

   また、北朝鮮については6か国協議で05年、「核放棄」などを盛り込んだ共同声明を採択している。国連安保理でも北朝鮮への制裁強化を複数回決議しており、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した直後の17年8月にも決議。安保理としてミサイルを許容しない姿勢を強調した。

   安倍晋三首相も今回のミサイル発射後、「断固たる抗議を北朝鮮におこなった。北朝鮮にさらなる圧力の強化を国連の場に求める」と厳しい姿勢で臨む方針を述べている。

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