北朝鮮と対話する場合、「いったんは核(兵器)を持った北朝鮮を容認しなければならない」。そんな考えをジャーナリストの青木理氏らが示している。北朝鮮が2017年8月29日朝、日本上空を通過する弾道ミサイルを発射したのを受けての発言だ。
北朝鮮の「核放棄」は10年以上前から6か国協議で採択されており、国連安全保障理事会でも17年8月5日(現地時間)、北朝鮮への経済制裁を決議したばかりだ。
「『核放棄』を前提に話し合いを進めようとするのは、もはや手遅れ」
ミサイルは日本上空を通過し、襟裳岬東方の太平洋上に落下。Jアラート(全国瞬時警報システム)が発射と通過の情報を送信したこともあり、北朝鮮の核・ミサイル兵器の脅威がいっそう現実味を帯びて日本に伝わった。
29日放送の「羽鳥慎一 モーニングショー」(テレビ朝日系)では今回のミサイル発射を受け、北朝鮮の核兵器保有を認めるか認めないかについて議論がなされた。北朝鮮情勢に詳しい政治学者・武貞秀士氏は「米国が北朝鮮を核保有国として認めることは絶対にない」としつつ、北朝鮮の核・ミサイル開発のスピードがはやく、兵器の精度も高まっていることから、「『核放棄』を前提に話し合いを進めようとするのは、もはや手遅れ」と主張。その上で
「北朝鮮は核兵器を持ったままで使わせないようにしながら議論し、戦略として最終的に放棄してもらう、とせざるを得ないのではないか」
との姿勢を示した。
また青木氏は、北朝鮮のミサイル発射方向が8月に計画を発表していたグアムではなかったことなどから「米国と話し合いをしたいというメッセージもあるのだろう」と推量。ただし、「北朝鮮は『核を放棄して話し合いはしない』と言っている」「米朝対話は必要だが、日本も、韓国とも歩調を合わせて北と対話する」とし、
「その場合、いったんは核を持った北朝鮮を容認しなければならない、ということがある」
と主張した。テレビ朝日解説委員の玉川徹氏も「北朝鮮の核を認めざるを得ないか、認めないとしたら軍事措置もあるのか、その両極。日本にとってどちらがいいのか」と言及した。