赤ちゃんに将来野菜好きになってもらうにはどうしたらよいか。そんなママたちの悩みに、驚きの解決法が! 母親が授乳前に野菜ジュースを飲むと、母乳が「野菜風味」になり、赤ちゃんが野菜好きになるというのだが...。
この画期的な研究をまとめたのは、米モネーロ化学感覚センターのジュリー・メネーラ医師らの研究チーム。米栄養学専門誌「American Journal of Clinical Nutrition」(電子版)の2017年7月号に発表した。
生後2週間目から野菜ジュースを飲むと一番効果的
同誌の論文要旨によると、研究チームは、母乳育児中の母子97組を次の5つのグループにわけて実験した。飲んでもらう野菜ジュースは、ニンジン、セロリ、ビート(=和名テンサイ、またはサトウダイコン)の3種類だった。
(1)母親に授乳前に野菜ジュースを半カップ飲んでもらう。期間は、子どもの生後2週間目から1か月間。
(2)同じく母親に授乳前に野菜ジュースを半カップ飲んでもらう。期間は、子どもの生後1.5か月目から1か月間。
(3)同じく母親に授乳前に野菜ジュースを半カップ飲んでもらう。期間は、子どもの生後2.5か月目から1か月間。
(4)同じく母親に授乳前に野菜ジュースを半カップ飲んでもらう。期間は、生後2週間目から3か月間と長い。
(5)上記、4グループとの比較のため、母親に水だけを半カップ飲んでもらう。
生後8か月くらいで子どもが離乳した後、母親は子どもに「(特に味のない)プレーン味」、「ニンジン風味」、「ブロッコリー風味」の離乳食用シリアルを与えた。そして、その様子をビデオ撮影してもらい、研究者が、子どもが嫌がるサイン(顔をしかめる、スプーンを拒絶するなど)をするか、または欲しがるそぶりをするかを観察した。野菜ジュースにはなかったブロッコリー風味を追加し赤ちゃんに試したのも実験のポイントだ。
赤ちゃんたちの反応を調べた結果、(1)から(4)までの「野菜風味」の母乳を飲んだ子どもは、(5)の水だけの子どもよりも、プレーン味や慣れないブロッコリー風味のシリアルより、ニンジン風味のシリアルを好んだ。また、(1)の生後2週間目から1か月間、野菜風味の母乳を飲んだ子どもが、他の子どもに比べ、ニンジン風味のシリアルを一番欲しがった。同じ生後2週間目から3か月間「野菜風味」を続けた(4)の子どもより、勢いよく食べた。これはなぜだろうか?
ジュリー・メネーラ医師は、論文の中でこう推測している。
「生後数週間は、授乳の頻度が一番高いためと、おそらく味覚の好き嫌いの形成に影響を及ぼしやすい時期であるため、この時期に集中して野菜風味の母乳を与えると、その野菜が好きになるのでしょう」
ママも野菜好きになり、母子ともどもハッピーに
また、研究には思わぬおまけがあった。母親たちの野菜摂取量は研究期間中を通して8割が推奨量を満たしていなかったが、母親たちは次第に野菜が好きになっていった。特に、(1)~(4)の野菜ジュースを飲んでいた母親は、(5)の水だけの母親より、ニンジン、セロリ、ビート味の野菜ジュースを好むようになった。メネーラ医師は、論文の中でこう指摘している。
「これは今回の研究の好ましい結果の1つです。母親がその後も子どもに健康的な食べ物を与え続ける可能性が高いということです」