「東芝などの大きな会社には忖度をしていないか」 東証に突きつけられた難題

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「極めて難しい判断になる」

   東証は2015年9月、東芝を内部管理に問題がある「特設注意市場銘柄(特注)」に指定した。東証の基準では、「内部管理体制について改善がなかったと取引所が認める場合」に上場廃止となる。東証は早ければ今秋にも、東芝の上場維持の可否について判断する方針だ。

   ただ、監査法人から玉虫色の意見が示されたことで、東証の判断はますます難しくなっている。内部管理をどの程度改善すれば特注を解除できるのかについては、明確な基準があるわけではなく、取引所の判断に委ねられている部分が大きい。監査法人のお墨付きを得たとはいえ、疑惑の残る決算を発表した東芝の上場を維持するのかどうかは「極めて難しい判断になる」(東証関係者)。

   東芝の上場を廃止すれば、株式の売買が自由にできなくなり、大勢の株主に影響が出る。関係者によると、官邸では経済への影響や株主の混乱を憂慮し、東芝の上場廃止への反対論が強まっているという。

   一方で、東証の親会社である日本取引所グループが6月に開いた株主総会では、東芝の上場審査に関し、株主から「東芝などの大きな会社には忖度(そんたく)をしていないか」と厳しい意見が出た。東証の判断によっては、海外投資家からも「日本市場は身内に甘い」「事なかれ主義」といった批判が出かねない。

   「クセ球」を投げられた形の東証が今後、どう打ち返すのか。命運を握られた東芝だけでなく、国内外の関係者が注視している。

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