衣類の洗濯で使用する柔軟剤の「におい被害」が後を絶たない。においを嗅いだことで頭痛や吐き気、めまいなどが起き、医者に駆け込む人もいる。
原因ははっきりしておらず、柔軟剤に含まれる化学成分によって化学物質過敏症の症状が出るのではないか、と言われている。国内の柔軟剤の販売数量は年々増加していて、被害者が増えるのではないかと予想する業界団体や国民生活センターでは注意を呼び掛けている。
「マスクがないと歩けません」
「昨日の劇場も今朝の電車内も頭の痛くなる柔軟剤の匂い。洗剤メーカー様、もうこれ以上匂いの強い柔軟剤は売り出さないで下さい!」
「柔軟剤はくさい。マジでくさい。あれをいい匂いと思うのは脳みそ腐ってる」
「化学物質過敏症は、柔軟剤や制汗剤の反応物質に寄って反応するので、マスクがないと歩けません」
そんな悲鳴が2017年8月25日にツイッターでつぶやかれた。
柔軟剤を使うと衣服の肌触りが良くなり、消臭・防臭効果、静電気が起きにくくなるなど様々な利点が説明されている。特に香りがいい、というのが人気のトップで洗濯に使う人がここ10年で急増した。業界団体の日本石鹸洗剤工業会 (JSDA)の調査によれば、国内の販売量は06年が23万6793トンに対し、16年は36万4890トンと50%以上増えている。逆にその「におい」に悩む人も急増してしまったのだ。
J-CASTニュースが17年8月25日に国民生活センターに取材したところ、「柔軟仕上げ剤のにおい」に関する相談件数は09年の9件に対し、14年は167件、15年139件、16年152件と高止まりしている。めまい、吐き気といった危害報告は09年の4件に対し、14年109件、15年85件、16年94件だ。
どんな時に柔軟剤のにおいに悩まされるのか。満員電車や乗用車の車内、映画館や会議室で隣に座った時などのほか、意外に多いのは隣人などの洗濯時。排水管や下水溝からにおってきたり、ベランダなどで洗濯ものを干しているとき。掲示板には、
「地味にキツイ。夏なのに窓も開けられない。管理会社に言っても『ベランダに洗濯物干すなとは言えませんからねえ』でとり合ってくれない」
「洗濯物干してる家から50メートルくらい離れても匂ってくる」
「ベランダに出て、隣の柔軟剤の匂い(臭い)がきつくて、鼻つまんで、隣から離れた方に洗濯物干す」
などといったことが書き込まれている。不快なだけでは済まずに、目や鼻が痛くなったり、めまい、吐き気、食欲不振など体調不良を訴える人もいて、病院に行ったという報告もある。