名前に「亀」という文字がある人を「積極的に採用」するというユニークな試みを、京都のベンチャー企業が開始した。
「亀がつく人に悪い人はいない」。背景には社長の実体験にもとづくそんな思いがある。開始して3日後の時点で、すでに「共感しました」と問い合わせが来ているという。
「亀」がつかなくとも申し込みはできる
この「亀採用」は、高校生の進学支援を手がける「おもれい」(京都市)が2017年8月21日に発表した。「名前に『亀』という文字が含まれている方を積極的に採用していきます」としている。亀井、亀山、亀次郎、亀久代など、苗字でも名前でも「亀」がついていれば条件を満たす。
同社の担当者は24日のJ-CASTニュースの取材に「『亀』がつく方は一次面接を免除させていただきます」と積極採用の内容を明かした。なお、もちろん「亀」がついていなくても申し込める。
すでに「亀」がつく人から1件問い合わせがあり、「採用サイトに掲載されている社長の考えに共感しました。是非お話しさせてほしい」と言っていたという。
採用サイトには、この採用活動を発案した同社創業社長の考えがつづられている。社長の名前は大亀靖治氏。「鶴は千年 亀は万年」などの言葉があるように亀は長寿命や繁栄のシンボルとされており、大亀氏自身「縁起がいい名前」と思っていた。少年時代から「『亀山さん』『亀梨さん』などの名前を見ると勝手に親近感」を覚えたという。
そして、2人の恩師の名前をあげながらこんな経験談をつづっている。
「亀がつく人で悪い人はいない」
採用サイトによると、大亀氏は高校時代、塾に通っていた。先生の苗字は「小亀」さんで、「亀がつく人で悪い人はいない」という口癖が印象的だったという。
その後、08年に同社を創業した際には、自分と同じ苗字の社長が大阪にいると知人に紹介してもらった。その「大阪の大亀さん」から「様々なことを教えて頂いています」と慕っているようだ。
そうした経験から大亀氏は「私自身も『亀がつく人に悪い人はいない』というのは、本当ではないかなと思ったりしています」として「亀採用」を発案。「世の中で亀という名前の人が他の会社よりも少し多く働いている会社っていうのも面白いかなと思っています」との期待もあるという。
前出の担当者は取材に「大亀自身、当社内でもこの考えは昔から言っていました」と話していた。また、「インパクトある取り組みで他社との違いを打ち出したいとも思っています」とベンチャー企業ならではのねらいもある。募集期限は定めておらず、応募の状況を見ながら考えていくという。
この「亀採用」がインターネット掲示板で取り上げられると、「んなこたぁない」「くだらねー思い込み」「どんな人でも良い一面はあるわ」と疑問を示す向きも出たが、「こういうのもいいとおもう」「PR効果は抜群」「確かに、俺の友人の亀井君は良い奴だ。高校の時サッカーやってたが頭も良かった」と肯定的に受け取る書き込みも少なくなかった。