治療法がなかなか難しいピーナッツアレルギー。豪州メルボルンのマードック小児医療研究所は2017年8月16日、乳酸菌をピーナッツに配合した食品を食べさせる治療法に成功したと発表した。
ピーナッツアレルギーは、急激な呼吸困難に陥って死に至ることもあるアナフィラキシーショックを引き起こす恐れがあり、患者や家族には朗報になりそうだ。
4年後も80%が食べ続けている
マードック小児医療研究所のプレスリリースによると、ミミ・タン教授らの研究チームは2012年にピーナッツアレルギー治療の臨床試験を始めた。方法はこうだ。乳酸菌の1種「ラクトバチルス・ラムノサス」を少量のピーナッツタンパク質に配合した食品を作り、徐々にタンパク質の量を増やしながらピーナッツアレルギーの子どもに食べさせた。ラクトバチルス・ラムノサスは腸内細菌の「善玉菌」として知られる。免疫力が高いうえ、胃酸に強く、直接腸に届くため、健康食品やサプリに多く使われている。
臨床試験では、配合食品を食べるグループとプラセボ(偽薬)を食べるグループに分けて比較した。その結果、配合食品を食べた子どもは82%が普通のピーナッツを食べてもアレルギー症状を起こさなくなった。プラセボの子どもでは4%だけだった。
しかも、最初の臨床試験が終わってから約4年後の2017年8月現在、アレルギー症状を起こさなくなった子どものうち80%が、まだ普通のピーナツを問題なく食べ続けている。臨床試験以後は何の治療も行なわなかったにもかかわらず。これまでのピーナッツアレルギーの免疫療法では17~30%の成功率が一般的というから、80%という数字は驚異的な成果だ。