個人が発行する仮想株式を売買する「VALU」というインターネット上のサービスを巡り、人気ユーチューバーのヒカルさんが炎上騒動に見舞われている。高値で「株」を「売り逃げ」したヒカルさんの行動に批判の声が集まっているのだ。
所属事務所の顧問・井川氏もヒカルさんの「株」を売り、非難されている中、ツイッターで顧問を辞任すると発表。これが火に油を注ぐ形となり、「騒動が大きくなったからって何逃げてんだよ」といったリプライが寄せられている。
「インサイダー取引ではないか」との声があった
VALUは、個人を株式会社に見立て、仮想株式を取引できるサービスだ。個人が「VA」と呼ばれる株のようなものを発行、その個人の価値が投資対象となる。売買は仮想通貨のビットコインを使う。
ヒカルさんは2017年8月9日、VALUに「上場」すると、ツイッターで14日、「明日一気にバリューで動く!」と投稿した。有名人であるヒカルさんの価格はすぐに高騰し、ヒカルさんは15日、前日の終値(ストップ高)で自身が保有するVAをすべて売却した。
ヒカルさんが役員を務めるユーチューバー事務所「NextStage」のメンバー、ラファエルさんといっくん(禁断ボーイズ)さんもヒカルさんに続き、自身のVAを売却。さらには、ヒカルさんの所属事務所「VAZ」と「NextStage」の顧問を務める井川氏もこれに前後して、ヒカルさんらのVAを売却した。井川氏には、「インサイダー取引ではないか」という批判の声が寄せられることとなる。
VAZは17日、公式サイトで発表した声明で「井川氏が、当社所属YouTuberと連携して、インサイダー取引をした事実はありません」と否定した。だが井川氏は22日夜、ツイッターで
「本日、一身上の都合により、VAZinc.顧問及びNextStage顧問を辞任することにいたしました。この度は世間をお騒がせし誠に申し訳ございませんでした。引き続きVAZやNextstageをよろしくお願いします」
と投稿し、「VAZ」と「NextStage」の顧問を辞任すると発表。ツイッターやネット掲示板で「逃げやがったww」「騒動が大きくなったからって何逃げてんだよ」と批判する声が続出しており、事態はますます混乱の度合いを深めている。
J-CASTニュース編集部が23日、VAZに取材を申し込んだところ、広報担当者は24日、
「(辞任は)事実でございます」
と回答した。
優待「示唆」が批判の的に
ヒカルさんは「上場」当初、VALUの掲示板で「VALU保有者限定のオフ会orセミナー等をやる予定にしています」と優待を示唆する内容を書き込んでいるとみられ、価格がつり上がったとして「詐欺にあたるのではないか」と批判されていた。
これに対して本人は、「優待を設定すると言ったことはない」と16日のツイッターで否定し、自身のVAを最高値で買い戻すと発表した。
VAZも17日付の声明で、「ヒカル氏は、VALUER への優待を設定すると言った事実はありませんし、実際に設定をしたことはありません」と否定している。
一方のVALU側はというと、ヒカルさんとラファエルさん、いっくんさんのVAへの売買注文を中止すると16日に発表して以来、表立った動きはみられなかった。だが23日、VAZと井川氏宛ての通知書を送付したと公式サイトで発表した。
「本日、弊社顧問弁護士より、VAZ社および井川氏に対し、VAの大量販売など一連の行為による損害または損失が発生した本サービスユーザーへの損害賠償または損失補填、VALU保有者からのVAの買取り、ならびに損害を被ったユーザーに対する今後の具体的な対応の内容およびスケジュールの公表等を勧告する通知書を内容証明郵便により送付いたしました」
ツイッターやネット掲示板では、VALU側の対処について
「ルール整備の不備はVALU側にあってその上でユーザーが損失を被っているのにVAZ社に内容証明送るのは良くわからないな」
「とりあえず、被害を被った方々に対しての補てんはなされるということでしょうかね。また、当事者たちからの続報と謝罪を待ちたいと思います」
「対応が遅すぎます。考えが甘すぎます。全サービスを一旦終了させた方がいいのでは?」
などと、賛否両論の反応が寄せられている。