欧米ではデリケートゾーンの脱毛が一般的になっている。特に米国では成人男女の8割近くがツルツル状態といわれるが、4人に1人が脱毛ケアでケガをしていることが米カルフォルニア大学らの初の全米調査でわかった。
調査報告は米医師会誌「JAMA皮膚科学」(電子版)の2017年8月16日号に発表された。
女性の85%、男性の67%がツルツルにしている
同誌の論文によると、脱毛ケアによる傷害事故が近年増えているため、研究チームは、国民の多くがどういう方法で脱毛を行ない、ケガにつながっているか、脱毛ケアの実態を調べた。地域・人種・階層など米国民を代表する18~65歳の男女1万4409人を選び、脱毛ケアの方法やケガの経験についてインターネットでアンケート調査を行った。約半数の7570人(男性4198人・女性3372人)から回答を得た。
その結果、全体の76%(女性85%・男性67%)が脱毛しており、26%がケガをした経験があった。ケガをした割合は女性が27%、男性が24%と女性の方が少し多かった。そのほか具体的な調査結果は次のとおりだ(複数回答)。
(1)いつも自分で脱毛する人は94%で、パートナーや友人にしてもらうことがある人が13%だった。
(2)脱毛する時の姿勢は、立位75%、座位22%、かがむ13%、仰向けになる12%だった。
(4)脱毛に使う道具は、カミソリ48%、電気カミソリ27%、ハサミ18%、ワックス3%、レーザーなど1%だった。
(5)ケガの内容は、切り傷が一番多く61%、ヤケド23%、発疹12%、感染症9%だった。ケガの場所は、男性では陰嚢(いんのう)、ペニス、恥骨部分、内腿の順に多く、女性に比べ、広範囲なのが特徴だ。一方、女性では膣、会陰部に限られた。ケガをした人のうち6%が医療機関で外科手術をしたり、抗生物質を投与したりする重症だった。
脱毛をやりすぎる人は3~4倍多くケガをする
ケガの原因をさらに詳しく調査すると、次のことがケガのリスクを高めていることがわかった。
(1)男性の場合、体毛が濃い人はそうでない人に比べ、ケガをするリスクが14%高かった。また、毎日・毎週脱毛したり、トータルで11回以上脱毛したりする人は、そうでない人に比べ、約4倍もケガが多くなった。頻繁に脱毛する人はケガが多く、やりすぎは禁物なのだ。
(2)女性でも毎日・毎週脱毛したり、トータルで11回以上脱毛したりする人は、そうでない人に比べ、約3倍ケガが多くなった。
(3)重症のケガを分析すると、パートナーにやってもらったり、仰向けの姿勢で行なったりするケースが目立った。他人が行なうと加減がわからないことと、横たわるとよく見えないためと推測された。
(4)(毛根からスッポリ抜き去る)ワックス脱毛は、カミソリに比べ、特にケガが多いことはなかった。しかし、重症な例や感染症の例が報告されており、さらなる研究が必要だ。
今回の結果について、カルフォルニア大学のマシュー・トルースデイル教授は、こうコメントしている。
「ケガのほとんどは軽くすんでいますが、傷害率が約26%と高いのは問題です。より安全にケアを行う必要があります。われわれ医療従事者は傷害リスクの高い患者を特定し、傷害を防止するよう注意を促す責任があります。今回の研究は、安全な脱毛を行なうためのガイドラインの策定に貢献する可能性があります」