筆者の推計では構造失業率は2%台半ば
筆者は、構造失業率をいろいろな方法で推計しており、その答えは2%台半ばである。そして、この構造失業率2%台半ばは、インフレ目標2%とも深く関係している。失業率とインフレ率の間には、フィリップス曲線という安定的な関係があることが先進国では知られているが、日本の場合、失業率2%台半ばはインフレ2%に対応するのだ。つまり、インフレ目標2%を達成を放棄することは、構造失業率2%台半ばを放棄することになる。
NHKの解説委員は、こうした経済学の基本も知らずに解説していたわけだ。もちろん、構造失業率という言葉はまったく言及されていない。
ちなみに、こうした経済分析からは、構造失業率2%台半ば、インフレ目標2%を達成するためには、有効需要25兆円が必要であることもわかる。これを財政政策で達成するためには20兆円経済対策、金融政策で達成するためには追加緩和であと2年以上の期間が必要となるだろう。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ
ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に
「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「大手新聞・テレビが報道できない『官僚』の真実」(SB新書)など。