スーパーマリオをやると頭がよくなる‥ ゲームの種類で「お馬鹿」にも「お利口」にも

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   電車の中でもアクションビデオゲームに熱中するアナタ。やり方によっては脳が萎縮し、うつ病などの精神疾患になる危険があることがカナダ・モントリオール大学の研究でわかった。精神医学誌「Molecular Psychiatry」(電子版)の2017年8月8日に発表された。

   でも、ガッカリしないで! やり方によっては逆に脳が大きくなり、「お利口さん」になることもあるというから。

  • アクションゲームはやり方に注意(Credit:Thinkstock モントリオール大学のプレスリリースより)
    アクションゲームはやり方に注意(Credit:Thinkstock モントリオール大学のプレスリリースより)
  • アクションゲームはやり方に注意(Credit:Thinkstock モントリオール大学のプレスリリースより)

単純にバタバタ敵を倒すゲームがアブナイ

   モントリオール大学のプレスリリースによると、同大の心理学者グレゴリー・ウエスト准教授らは18~30歳の男女97人(男性51人・女性46人)を対象に実験を行なった。参加者には、ゲームの熟練者から初心者まで様々なレベルのプレイヤーが含まれていた。

   参加者を3グループに分け、90時間次のゲームを続けてもらった。

(1)1人称の視点で3次元(3D)の地図の中を移動しながら敵を攻撃する「ファーストパーソン・シューティングゲーム」(FPS)。
(2)3人称の視点で3次元(3D)の地図の中を移動しながら敵を攻撃するサードパーソン・シューティングゲーム(TPS)。たとえば、「コール・オブ・デューティ」「バトルフィールド」「キルゾーン」「ボーダーランド2」「スーパーマリオ・シリーズ」などだ。

   そして、ゲーム終了後にMRI(磁気共鳴画像)検査をして脳の中心部にあり、空間や記憶を司る海馬への影響を調べた。その結果、(1)のゲームように現れる敵をバタバタ倒すことが中心で、「反応学習」(response learning)のプレイをしていた人は、海馬の灰白質の容積が縮小していた。一方、(2)のゲームのように「空間的戦略」(spatial strategies)を駆使してプレイをしていた人は灰白質の容積が増加した。

   灰白質とは脳の神経細胞のかたまりだ。灰白質が萎縮すると、うつ病や統合失調症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、パーキンソン病を発症するリスクが高まるという。

   ウエスト准教授によると、(1)のゲームの反応学習では、単に左右に曲がる場所を覚える程度の記憶力でゲームを進める。その時、プレイヤーの多くは脳の「尾状核」という部分を使っていた。これは主に運動の記憶をつかさどる場所で、自転車の乗り方を覚える場合などに使われる。一度覚えると、何も考えずに乗ることができる。(1)のゲームのプレイヤーの85%は尾状核に依存し、反射神経だけでゲームを行ない、海馬のほかの部分をほとんど使っていなかった。海馬を使わないから萎縮したと考えられるという。

ゲームはやり方によって脳に天国と地獄

   一方、(2)のプレイヤーは第三者の視点でプレイをするから、頭の中に地図を描き、敵から奪った自分の陣地、自分の居場所を周辺の岩石、山、木々の形などから瞬時に理解する必要がある。海馬をフル回転で使っているわけだ。さらに、プレイ時の脳の働かせ方によって差がみられるだけでなく、特に「スーパーマリオ・シリーズ」をプレイしたグループでは、海馬だけでなく嗅内皮質と呼ばれる脳領域の容積も増加することがわかった。嗅内皮質は、海馬を取り囲んでいる大脳皮質と海馬との間で情報をやりとりする、いわば「連絡通路」に当たる場所。そこが増大したということは記憶力と集中力が高まったことを意味するという。

   こうした結果について、ウエスト准教授はプレスリリースの中でこうコメントしている。

「アクションゲームは、やり方によって、脳にいい影響と悪い影響を与えることがわかりました。中でも、尾状核に頼る方法でプレイをすると、海馬が萎縮するという発見は重大です。自分の脳を傷つける危険もあることを理解したうえで安全にプレイをしてください。私個人の意見では、成人がシューティングゲームを行なうのは週に2~3時間以内にするべきだと考えます」
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