シンガーソングライターの山下達郎さん(64)がラジオ番組で、人間ドックに行き聴覚検査をした時に「こんな性能の悪いヘッドホンで信号が聞こえるわけが無い」と怒り、検査員と喧嘩になったとのエピソードを明かした。
その喧嘩はなんと6、7年続いたという。ネット上では「さすがは音の職人!」といった称賛や、「聴こえ易くしたら聴力検査にならない」といった意見も出たが、聴覚検査用のヘッドホンの性能はどんなものなのか、メーカーに話を聞いてみた。
音が聞こえるわけがないと言ったら喧嘩になった
山下さんが聴覚検査用ヘッドホンについて語ったのは2017年8月20日放送の「山下達郎のサンデー・ソングブック」(TOKYO FM)。この日のゲストは妻でシンガーソングライターの竹内まりやさん(62)だった。リスナーからの質問で、歳を取ると音が聞こえにくくなるけれども、山下さんや竹内さんは大丈夫か、というものがあり、山下さんは高い音は聞こえにくくなったが仕事上は全く問題のない範囲で、聴覚検査も問題が無かった、と答えた。
すると竹内さんは、山下さんの聴覚検査でのエピソードを話し出した。検査室でヘッドホンを装着した山下さんは、検査員から信号音が聞こえたらボタンを押すよう指示されたけれども、ずっと押したままだったのだという。すると山下さんはおもむろに、
「ヘッドホンのSN(エスエヌ)が悪すぎるのよ!」
と語り出し、
「こんな性能の悪いヘッドホンで、そんな音が聞こえるわけがないでしょ(と言ったところ)喧嘩になってさ」
と明かした。「SN」というのは信号(signal)と雑音(noise)のバランスを指しているようだ。こうした「喧嘩」が6、7年続いたという。また、聴覚検査の隣では息を吸ったり吐いたりする検査が行われていたそうで、山下さんは、
「めんどくさいんだもん」
との理由で、検査を途中で止めてしまう。そのため、
「その二人の(検査員の)女性、二人がね、もうね、俺が入ってくると『うわぁ、この野郎来やがった!』って、そういう顔して......」
という目にも遭ったそうだ。竹内さんはそんな山下さんを、
「達郎っぽいな、と思って」
と笑っていた。
検査音以外の音が出るなんて考えられない
山下さんは「職人」の異名を取るほど、音作りへのこだわりが強いことで有名だ。ネット上ではこの話について、
「聴覚検査のヘッドホンにもクオリティを求める達郎w」
「病院の聴覚検査で使われているヘッドホンの性能に文句をつける山下達郎...さすが音の職人、その光景を見てみたい笑」
「もう山下達郎プロデュースの聴覚検査機器作るしかないな、これは」
などといった称賛の声が挙がる一方で、
「聴覚検査のヘッドホンにクレームつける人なんて初めて聞いたwww病院側はたまったもんじゃない(笑)」
「他の人はみんなそれでやってんだから、基準に文句言うな阿呆って感じ」
「ノイズと検査の音は全然違うのに。これはクレーマーだわな」
といった批判も出た。
ところで山下さんの言うように聴覚検査用ヘッドホンは性能が悪いのだろうか。J-CASTニュースが17年8月23日に医療機器メーカー大手に取材したところ、検査用のヘッドホンと音楽用では作る目的が違うため比べるのが難しいし、また山下さんがどんな病院のどんな施設を使い、どのような目的の検査をしたのか分からないため、コメントは難しいとした。その上で、
「検査用の場合は、大音量でも音が割れたり歪んだりしない作りになっています。また、ヘッドホンから出て来る音は、検査用の音のみで、雑音など他の音が出て来ることは、まず考えられません」
ということだった。そのため製品化する上で様々な検査をパスしているのだという。