「党員・サポーターの中でも盛り上がっていない」。民進党代表選挙に立候補した前原誠司氏は2017年8月22日、東京都内の日本記者クラブでの公開討論会で代表選のそんな「実感」を口にした。同じく立候補者の枝野幸男氏も「草の根からの『うねり』をどう起こせるかが問われている」と盛り上がりのなさを感じているようだ。
さらには「旧民主党政権の失敗の象徴のような方で党の再生ができるのか」と厳しい質問も出た。両候補はどう答えたか。
枝野氏「国会議員が地方議員や党員・サポーターにそろっておわびする」
「この代表選は『うねり』のような盛り上がりに欠けているのではないか」というのが公開討論会の最初の質問だった。
これに前原氏は「全国を回って、党員・サポーターの中でも盛り上がっていないと実感している。1番聞かれるのは『なぜ蓮舫さんは1年経たずに(党代表を)辞めたのか』だ。私は、このままいくと党員・サポーターの投票率も前回(の代表選)を下回るのではないかという気がしている」と答えた。
16年9月の代表選には蓮舫氏、前原氏、玉木雄一郎氏が立候補し、蓮舫氏が2候補に大差をつけて圧勝。しかし、わずか10か月後の17年7月に代表を辞任した。
枝野氏は「選んだリーダー(蓮舫氏)をいかに支えていこうかという意識が国会議員に足りなかったからだ」と党内のまとまりの無さを指摘した。「国会議員が地方議員や党員・サポーターにそろっておわびする。その上で、草の根からの『うねり』を、地方をまわっていく中で起こせるかが問われる」とし、やはり現状の「うねり」のなさを感じているようだ。
「八ッ場ダムだけは、いまだにどこに行っても言われる」
両候補自身の代表としての資質にも触れられた。09~12年の3年3か月で終わった旧民主党政権で、前原氏は外務大臣など、枝野氏は官房長官など、政府要職を歴任してきた。この経歴を引き合いに「旧民主党政権の失敗の象徴・顔のような方で党の再生ができるのか」との質問が出た。
前原氏は与党で得た経験として「失敗は(国民に)ずっと覚えられる。八ッ場ダムだけは、いまだにどこに行っても言われる。1つの失敗が命取りになると認識させられた」と語った。国土交通大臣時代の09年、前原氏は八ッ場ダム(群馬県長野原町)建設事業の中止を発表し、関係者の大きな反発を招いた経緯がある。そこで、「失敗した人間だからこそ怖さを知っている。そういう人間が中核にいないと、何かの拍子で我々が政権をとってもまた失敗を繰り返す」と主張した。
枝野氏も「官房長官や幹事長として、リーダーを側で支えてきた。『あ、これはうまくいかないのではないか』という気持ちになることもあった。そういう状況を一番多く見てきた。だから次はうまくできる」と、「失敗」を糧にする旨を主張していた。