指に光を当てるだけで血糖値を測定できる技術を開発したと、量子科学技術研究開発機構関西光科学研究所が2017年8月18日、発表した。
指を装置に置くだけで採血をする必要がないため、実用化されれば糖尿病患者の負担が大きく減りそうだ。2018年度から臨床研究を開始し、5年後の一般向け販売を目指す。
将来はスマホサイズで持ち運びできる?
同研究所の発表資料によると、国内の糖尿病患者は約720万人にのぼり、患者は1日に複数回自分で血糖値を測定しなくてはならない。現在の測定器は指先に針を刺して採血し、センサーで測る方式だ。痛みや煩わしさを伴うほか、感染症の危険も指摘されている。
研究チームは、指に赤外線レーザーを当て、反射してくる光の強さなどから血液中の「グルコース」(ブドウ糖)だけを捉える装置を開発した。健康な成人4人で試したところ、血液を採取した場合とほとんど変わらない高精度の結果が得られた。今のところ電源部分を除く試作品は縦15センチ、横10センチ、高さ5センチの手のひらサイズ。光を発するくぼみに指を置くと5秒で計測できる。将来は持ち運びが楽なスマートフォンのサイズにまで小さくする。