夏の甲子園(全国高校野球選手権)3回戦で仙台育英の選手が一塁を駆け抜けた際、「大阪桐蔭の一塁手の足を蹴ったのではないか」と物議を醸した場面が、試合から2日経っても波紋を広げている。
ツイッター上では、2回戦の日本文理戦でも同じ選手が一塁手の足を蹴ったのではないかと指摘があがり、その場面の動画が拡散された。
「たまたまなら仕方ないけど...」
2017年8月19日の仙台育英と大阪桐蔭による3回戦、0-0で迎えた7回ウラ2死の場面で、打席に立った仙台育英の捕手は遊ゴロを打つと、一塁を駆け抜けた。この際、塁を右足で踏み、左足が大阪桐蔭の一塁手に直撃した。アウトになったが一塁手は倒れ込み、チームメイトに肩を支えられながらベンチへ引き上げた。試合後は車いすに乗って球場をあとにしたという。このけがもあってか、ツイッターやインターネット掲示板上ではこの走塁をめぐって非難と擁護の声が飛び交った。
「完全にわざとやってるな」
「たまたまなら仕方ないけど、普通に走ってこんな当たり方するかな」
「セーフになろうと全力疾走してベースを踏もうとすればあんな動きになると思う」
「プレー中に相手を怪我させようとするプレイヤーなんてそうそういるものではありません」
すると、9回ウラにはまさかの「ミス」が起きた。2死1、2塁、大阪桐蔭が1-0とリードで迎えた場面で、遊ゴロを送球された大阪桐蔭の一塁手は、塁を踏まずに捕球した。タイミングはアウトに見えたため大阪桐蔭ナインはベンチに戻りかけたが、一塁手がベースを踏むのが遅れて打者がセーフ。勝利が一転、結局サヨナラ打を浴びて1-2で敗北した。けがをした一塁手は、けがをした時の走塁との関連を問われて、「関係ありません」などとスポーツ紙に語ったが、ツイッターでは「仙台育英が大阪桐蔭のファーストの足を蹴ったのが完全に伏線になってる負け方やん...」と、7回ウラの走塁と関連づける投稿も複数見られた。
2回戦の日本文理戦にも波及
バッシングは、仙台育英の2回戦・日本文理戦でも同様の場面があったなどとして拡大した。6回ウラ2死3塁の仙台育英の攻撃、打者は前述と同じ捕手。二ゴロの一塁送球がそれて、一塁手が体を地面に投げ出して捕球したところ、同捕手の右足が一塁手の足に当たったように見えた。3アウトでチェンジになり、一塁手にもケガはなかったようだが、「日本文理戦での疑惑の足蹴り」などと言われて大阪桐蔭戦後に拡散された。
さらには、仙台育英を労うツイートに対して「ナイスキックと●●(編注:実際は同捕手名)くんに伝えてください」などと誹謗するリプライも寄せられている。
大阪桐蔭戦7回ウラの走塁について、20日の日刊スポーツによると、仙台育英の同捕手は「必死にセーフになろうと思って走り、体のバランスを崩して足が当たってしまった。決して故意ではありません」と述べている。
しかし、同捕手は20日の準々決勝の広陵戦で先発を外された。仙台育英は4-10で敗れて夏を終えた。21日のスポーツ報知によると、仙台育英の佐々木順一朗監督は欠場理由について明言を避けつつ「彼を守るために戦った」としている。
21日になってもネット上では大阪桐蔭戦の走塁をめぐって「蹴り入れてる時の脚の使い方」「ベースの踏むのに全力疾走して接触したよーにしか見えない」といった投稿が続いている。また、「大阪桐蔭も仙台育英もこんな終わりかたは気持ちよくないだろ」と嫌気を感じる向きも少なくない。