それでも消えない相談役・顧問 「開示」圧力も何のその

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開示対象は「経営トップの経験者」に限定

   ただ、記載するか否かは企業の判断に任される。そもそも開示対象は社長や最高経営責任者(CEO)ら経営トップの経験者に限定し、副社長や子会社トップらは対象外。また、開示しなくても罰則などはない。もちろん、企業は投資家(株主)らから、なぜ開示しないかの説明を求められることになり、企業の対応が注目されるところだ。

   現状はどうか。経済産業省が3月にまとめた上場企業調査(874社が回答)によると、約6割の企業に相談役や顧問がおり、報酬を払うのは約8割。秘書や個室、社用車を用意する場合もある。役割については、「現経営陣への指示・指導」(36%)が最も多く、「業界団体や財界活動」(35%)、「顧客との取引関係の維持・拡大」(27%)が続く。経験や人脈を生かして、多忙な社長や会長に代わって財界活動や取引先との関係構築をする役割が期待されているという説明だ。経団連の榊原定征会長は東レの相談役最高顧問、日本商工会議所の三村明夫会頭は新日鉄住金の相談役名誉会長を務めているのが代表例だ。

   相談役・顧問の問題は、すでに2017年の株主総会で株主と経営陣の「前哨戦」も繰り広げられた。武田薬品工業の株主総会では、「ガバナンス改革に逆行している」として株主15人が相談役や顧問などの廃止を提案。14年間社長、会長を務めた長谷川閑史氏の相談役就任の方針が示されていたことに対応したものだったが、会社側は長谷川氏の役割は限定的であり、年間報酬額を現行から9割近く減らし、秘書や社用車を付けないなどと説明し、株主提案は否決された。北陸電力や四国銀行でも、同様の株主提案が出され、いずれも否決された。

   一方、会社側が先手を打つ例もある。Jフロントリテイリングや阪急阪神ホールディングスの総会では、相談役ポストを廃止する定款変更の議案を会社側が提案し、可決された。さすがに、不正会計で揺れる東芝は2016年6月に、一足早く相談役の廃止を決定済みだ。

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