中国を徘徊する「灰色のサイ」 3つの経済危機は回避できるのか

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米国に似てきた住宅ローン事情

   最大の「灰色のサイ」と見なされている不動産バブルについて、天風証券マクロ分析チームは米国の金融危機を鑑に、中国の住宅価格における「セーフティクッションの厚さ」を分析した。

   米国の家庭での住宅ローン支出の平均と世帯収入の比率は、2000年以降急速に上昇し、2000年の時点でこの指標は65%だったが、2006年にはすでに99%に達しており、住宅ローンによる圧力の限界に限りなく近づいていた。世帯収入の全てを住宅ローン支出につぎ込むならば、家計が崩壊するのは時間の問題だ。2007年に米国の家庭での住宅ローン支出の平均と世帯収入の比率は101%に達し、極限点を超えると同時に危機が発生した。

   中国の家庭の住宅ローン支出と世帯収入の比率は、2006年から2016年までに33%から67%に上昇した。2013年から2016年までの間に、不動産価格も大幅に上昇した。その様相は、2001年から2004年にかけて、米国の国民が積極的にレバレッジをかけた過程と似ている。

   世帯における債務という観点から見れば、2016年の中国は2004年の米国にかなり似ている。2016年下半期に中国は通貨政策の緊縮と住宅購入制限政策を打ち出したのに伴い、中国の世帯においても能動的なレバレッジから受動的なレバレッジに変わりつつあるが、住宅ローン支出と世帯収入の比率は、今後も上昇を続けることだろう。

   天風証券は、「これは良い兆候ではなく、中国の『灰色のサイ』が動き出したのかもしれない」と見ている。ただ、中国における現在の住宅ローン支出と世帯収入の比率は、米国で危機が勃発した時の水準と比べると、まだ比較的、安全な状態にあり、「灰色のサイ」とは、まだ安全な距離を取っているともいえるが、サイが暴走しないとも言い切れないのだ。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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