最大の「サイ」は不動産バブル
現在の中国経済において「灰色のサイ」は何か?
中国金融改革研究院の劉勝軍院長は、不動産バブルこそ疑問の余地なく最大の「灰色のサイ」だと表明した。「一方では中国の住宅価格のバブル化に関してもはや議論はされていないが、他方では住宅価格の調整や管理がかつてないほど効力が失われており、多くの人々が『住宅価格は二度と下がらない』という錯覚に陥っている」と彼は語った。
2頭目の「灰色のサイ」は通貨、人民元の切り下げだ。切り下げによる資金の流出は1997年のアジア金融危機のような大きな動揺を引き起こす。この2年、中国国内資産価格の高止まりや経済成長の減速、経済モデルチェンジの不確実性などの要素の影響で人民元の切り下げ予想が形成され、外貨準備高が4兆ドルから3兆ドルに減少するという事態を招いた。最近の外貨準備高はやや安定しているとはいえ、それは主に為替管理を強化した結果であり、人民元切り下げの予想はまだ完全に払拭されていない。
3頭目の「灰色のサイ」は、銀行の不良資産の増加だ。現在、政府側が公表した銀行の不良資産率は2%前後で、これは非常に良い数字だ。しかし、株式市場の銀行株の株価から見ると、不良率は明らかに低く見積もられている。多くの銀行株の実勢利回りのPE値(株式の時価と純利益の比)は5倍前後で、今のところA株式市場の株価収益率の中央値の60倍以上。銀行株のP/B値(一株当たりの株価と一株当たりの純資産の比率)は2倍以下である。これは、株価がすでに一株当たりの純資産を下回っていることを意味している。