猫の腸内細菌の「善玉菌」が判明 ペットフードの開発でより健康長寿に

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   猫にも人間同様に腸内細菌がおり、善玉菌を増やすことでより健康になる可能性があることが東京大学、日清ペットフード、日本獣医生命科学大学の合同チームの研究で明らかになった。

   猫の善玉菌は人間や犬と異なるタイプであることもわかったという。この研究は、科学誌「PLOS ONE」(電子版)の2017年8月16日号に発表された。

  • ニャンコはいつまでも元気で。図は人・犬・猫の「善玉菌」(東京大学などの発表資料より)
    ニャンコはいつまでも元気で。図は人・犬・猫の「善玉菌」(東京大学などの発表資料より)
  • ニャンコはいつまでも元気で。図は人・犬・猫の「善玉菌」(東京大学などの発表資料より)
    ニャンコはいつまでも元気で。図は人・犬・猫の「善玉菌」(東京大学などの発表資料より)
  • ニャンコはいつまでも元気で。図は人・犬・猫の「善玉菌」(東京大学などの発表資料より)
  • ニャンコはいつまでも元気で。図は人・犬・猫の「善玉菌」(東京大学などの発表資料より)

猫の善玉菌は人間や犬と異なるタイプ

   東京大学などの発表資料によると、日本で飼われている猫と犬の数は14歳以下の子供の数よりも多くなり、ペットの健康には人間並みの注目が集まっている。健康維持には人間同様、腸内環境の改善が欠かせない。犬の腸内細菌については2017年1月、同じ合同チームが研究発表を行なったが、猫の腸内細菌を調べた研究はほとんどなかった。そこで今回、猫の腸内細菌を5つの年齢ステージごとに分析、加齢の影響を調べた。

   「離乳前」(平均日齢・生後13日)、「離乳後」(同・生後7週間)、「成年期」(2歳半)、「高齢期」(11歳)、「老齢期」(17歳)である。それぞれのステージごとに10匹の猫から大便を採取し、腸内細菌を培養して特徴を調べた。その結果、次のことがわかった。

(1)腸内細菌の構成が加齢とともに変化(老化)する。特に高齢になるにつれ、人間や犬でも共通の「悪玉菌」として知られる「クロストリジウム属」の細菌が増えていく。

(2)しかし、腸内細菌の構成が人間や犬と大きく異なっている。人間の「善玉菌」は乳酸菌の仲間「ビフィズス菌」で、犬の善玉菌も乳酸菌の仲間「乳酸桿菌」だが、猫ではビフィズス菌や乳酸桿菌は少数派だった。その代わり、同じ乳酸菌の仲間で免疫力が高い「腸球菌」が優勢で、善玉菌の働きをしている。

(3)このため、腸球菌を増やし腸内細菌の中で優勢に保つことが猫をより健康にする可能性が高くなった。

   今回の研究成果について東京大学の平山和宏准教授らは、発表資料の中でこうコメントしている。

「猫にとっては腸球菌が優勢な有用菌であることがわかりました。この発見は、猫に特化した腸内細菌のバランスを保つ、新しいペットフードや整腸剤の開発につながります。猫の健康改善法のさらなる進歩が期待されます」
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