72回目の終戦の日にあたる2017年8月15日、政府が東京・北の丸公園の日本武道館で開いた全国戦没者追悼式で、天皇陛下が3年連続で「深い反省」を表明した。17年6月に1代限りの天皇退位を可能にする特例法が成立してから天皇陛下が「お言葉」を述べるのは初めて。
式典では、天皇陛下が退出時に立ち止まり、皇后さまが近づいて声をかける一幕もあった。
3年連続で「深い反省」に言及
天皇陛下は「お言葉」の中で
「ここに過去を顧み、深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」
と述べ、3年連続で「深い反省」に言及した。一方、天皇陛下に先立って式辞を述べた安倍晋三首相は、「戦争の惨禍を2度と繰り返してはならない」などと不戦の誓いを強調したものの、周辺諸国への加害責任には5年連続で言及しなかった。
例年の式典では、遺族代表による「追悼の辞」が終わり次第、厚労相が両陛下の席の前に進み一礼。それを合図に両陛下が立ち上がって式壇(ステージ)を向いて一礼し、退出する。
17年の式典では、天皇陛下は立ち上がった直後に客席に目をやった後、式壇を向いて両手を前に組んだ状態で、そのまま20秒以上動かない状態が続いた。式壇から見て天皇陛下の後方にいた皇后さまは、天皇陛下の横に進み出て何かを話しかけた。この直後、天皇陛下は式壇に一礼し、式場を退出した。退出後、記者席では、この異変に関してなのか、小声でささやき合う様子も見られた。
式典には6100人超が参列
天皇陛下は15年12月18日、82歳の誕生日に際して開いた記者会見で、
「年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました。したがって、一つ一つの行事に注意深く臨むことによって、少しでもそのようなことのないようにしていくつもりです」
と言及している。
今回の式典には天皇皇后両陛下、安倍晋三首相、101歳から6歳までの遺族ら計6167人が参列し、日中戦争と第2次世界大戦で犠牲になった約310万人を追悼した。