仏ルノー・日産自動車連合が、2017年上半期(1~6月)の販売台数で初めて世界首位に立った。2016年、三菱自動車を傘下に収めた効果が出た。このまま順調に積み上げると、初の年間首位と1000万台超えも見えてくる。ただ日産、三菱ともに利益率は他社に比べて低い。規模のメリットを収益の向上に結びつけられるかが課題となっている。
発表によると、ルノー・日産連合は上半期で前年同期比7%増の526万8079台を販売した。内訳は日産289万4488台(5.6%増)▽ルノー187万9288台(10.4%増)▽三菱49万4303台(2.4%増)だった。
「1000万台」が現実味
日産は、国内では独自の電動化技術を搭載した「ノートe-POWER」や自動運転技術「プロパイロット」を搭載した「セレナ」などが好調だった。米国や中国でも堅調だった。
ルノーグループは全地域で販売台数と市場占有率が拡大した。地元の欧州で好調だったほか、アフリカ・中東・インド地域で19.3%増、アジア・太平洋地域で50.5%増と、世界各地でシェアを伸ばした。
三菱は、燃費不正問題で一時中止していた軽自動車の販売を再開したことが寄与した。中国で現地生産しているSUV「アウトランダー」も人気だという。
この時期、独フォルクスワーゲン(VW)は515万5600台、トヨタ自動車(ダイハツ工業、日野自動車を含む)は512万9000台だった。ルノー・日産連合がアタマ一つ抜け出た格好だ。
3グループとも、単純に2倍にすれば年間1000万台を超える。2016年のルノー・日産連合の販売台数は996万台と「節目」まであと一歩だったが、2017年は1000万台が現実味を帯びている。
利益率は低迷
日産は、連合の販売台数を7月27日にリリースした。半期ベースで連合の台数をまとめ、トップに君臨するカルロス・ゴーン氏の談話までつけた異例の対応だ。副題で「拡大したアライアンスは2017年年間販売台数で業界トップの自動車グループへ」とアピールした。またEV累計販売台数は48万1151台となり、「量産EVセグメントにおけるトップ自動車グループとしての役割をさらに確立した」と自賛した。ゴーン氏は「引き続きアライアンスのスケールメリットとグローバル市場におけるプレゼンスを活かして、パートナー企業に貴重なシナジー効果をもたらす」とのコメントを出した。
ただし、喜んでばかりはいられない。販売で世界一になっても、利益率は低迷しているからだ。国内大手乗用車メーカー7社のうち、2017年4~6月期の売上高営業利益率トップはスバルの約14%。以下、スズキ、トヨタ、ホンダが9~7%台で続く。これに対して日産は5.6%とかなり離されており、「病み上がり」の三菱は最下位の4.7%にとどまる。
日産は2011年度に策定した経営計画「日産パワー88」で、計画の最終年度である2016年度に売上高営業利益率と世界シェアをともに8%とする目標を掲げたが、どちらも達成できなかった。販売台数トップといっても、浮かれてはいられないことは、ゴーン氏が一番よく知っている。