近年、トランポリンの人気が高まり、レジャー施設で遊ぶ子供が増えているが、米整形外科学会(AAOS)は2017年7月19日、「6歳未満の子どもには危険なので遊ばせないように」とする保護者向けの警告を発表した。
骨折などの重傷事故のリスクが高く、米国では年間約30万人ものけが人が出ているという。
トランポリンの複雑な動きを行なう筋肉・骨・脳が未発達
AAOSが発表した同日付のニュースリリースによると、米消費者製品安全委員会が医療機関を通じて把握したトランポリンによる負傷者の数は、2015年だけで約29万5000人に達した。うち10万2943人が救急部門の治療を受ける重症者だ。トランポリンのケガの約3分の1は骨折を伴い、その骨折の60%が両腕の部分だという。また、負傷事故のほとんどが、レジャー施設など管理者がいる場所ではなく、一般家庭の庭などで起こっていた。ケガをした子どもの90%以上が5歳以下で、そのほとんどが親が見ていない時に遊んでいた。米国では広い庭にトランポリンを置き、子どもに遊ばせる家庭が多いのだ。
AAOSの広報担当者で小児整形外科医のジェニファー・ワイス医師はこうコメントしている。
「子どもたちにはできるだけ外で遊んでほしいですが、保護者はトランポリンが危険であり、重傷を負う可能性があると知る必要があります。6歳未満の子どもの骨格と筋肉、そして脳は、トランポリンで飛び跳ねる複雑な運動をコントロールできるまでには発達していません」
そして、AAOSとして、トランポリンを安全に使うための注意事項を以下のように提案した。
(1)保護者がいても、6歳未満の子どもにはトランポリンを使わせない。子どもがこっそり使わないよう、(大人が)使用後は梯子をはずしておく。
(2)トランポリンを体育の授業やトレーニングなどで使う時は、大人の監督者を置き、安全対策を慎重に行なう。宙返りなどのハイリスクの技は、経験ある指導者の元で適切に行なう。
(3)一度に1人の参加者だけがトランポリンを使用するようにする(2人以上が同時に使わない)。
(4)負傷事故の予防には安全ネットやマットレスを置けば十分だと思わないこと。ほとんどの事故はトランポリンからの転落ではなく、トランポリン上で起こっている。