ランニングをする人にとって、どのくらいの歩幅(ストライド)で走ればいいのか気になるところだ。ランニングではタイムを伸ばすにはフォームが大事とされるからだ。
ところが、「歩幅は自分が好きな自然の走り方でいい」という研究がまとまった。米ブリガムヤング大学のチームがエクササイズ専門誌「International Journal of Exercise Science(IJES)」(電子版)の2017年8月9日号に発表した。
リオ五輪マラソン入賞者も研究チームに参加
ランニングの走り方は、大きく「ピッチ走法」と「ストライド走法」に分かれる。歩幅が小さく足を速く回転させる走り方を「ピッチ走法」と呼ぶ。足が短い日本人向きの走り方といわれ、筋力の弱い人にも適している。高橋尚子選手や瀬古利彦選手がピッチ走法だ。一方、歩幅を大きく取るのが「ストライド走法」。足の回転は遅くなるが、1歩の幅が広いためスピードが出やすい。足が長く、筋力の強い人に向いている。野口みずき選手や中山竹通選手がストライド走法だった。
ランニング初心者はどちらの走法にするか、迷うものだ。J-CASTヘルスケア記者もランニング歴16年。最初は歩幅について周囲から色々アドバイスされた。「もっと広く、前に足をつき出せ」とか「直立して体を前に倒し、思わず足を踏み出す歩幅が理想」などなど。試行錯誤しながらも、結局、我流の自分の好きな走り方に落ち着いている。
「IJES」誌の論文によると、研究チームには何人かのベテランランナーが入っている。その1人ジャレッド・ウォード氏は、2016年リオ五輪の男子マラソンで6位に入賞した実績を誇る。研究チームは33人のランナーに協力してもらった。33人のうち19人は、週に32キロ以上走る熟練ランナー、14人が週に8キロ程度の初心者だ。
そして、ランニングマシン上で歩幅を5つの長さに変えながら20分間走り、酸素呼吸量から消費エネルギーを測った。歩幅は、その人が普段走っている自然な長さからプラスマイナス8~16%増減した範囲だ。参加者は走っている最中、歩幅をコンピューターを使ったメトロノームに従って維持するよう求められた。また、酸素呼吸量はエアバックを背負い、口にマスクを装着して正確に測られた。つまり、どの歩幅がその人にとって一番疲れにくく、かつ速く、最高のコストパフォーマンス(コスパ)を発揮できるかを調べた。