インドで女性の髪が切られる事件が多発? 悪魔や魔女の仕業、ではなく集団パニックか

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   インドの複数の州で、髪を伸ばしている女性が束ねた髪を切られるという事件が多発していると、BBCやAFPなど海外メディアが報じている。

   被害を訴える女性はインド北部のハリヤーナー州やラージャスターン州など複数の州にまたがり、特に農村地帯であるウッタル・プラデーシュ州からの報告が多いという。何らかの猟奇事件かと考えてしまうが、ほとんどのメディアは「集団ヒステリーだ」と冷ややかに指摘している。

  • 髪切り犯は悪魔でも魔女でもなく、パニックか(画像はイメージ)
    髪切り犯は悪魔でも魔女でもなく、パニックか(画像はイメージ)
  • 髪切り犯は悪魔でも魔女でもなく、パニックか(画像はイメージ)

人のように動く黒ネコが犯人?

   2017年8月4日付のBBCによると、「ファントム・バーバー」と呼ばれる一連の髪切断事件は7月末から確認されている。髪を切られたと訴える女性の年齢や居住地はさまざまで、特に共通点などはない。

   犯行状況については「寝ている間に髪を切られていた」と訴え出る女性が多いが、犯人像は見知らぬ高齢者に切られたというものから、人のように動き回る黒ネコに切られたという意味不明な証言まであり、超自然的な存在、つまり悪魔や幽霊、魔女によって切断されたと信じている女性もいるようだ。

   パニックは各地に広まっており、独公共放送「ドイチェ・ヴェレ」は8月4日付の記事で、被害報告の多いウッタル・プラデーシュ州では65歳の女性が「髪を切って魔術を行っている魔女だ」とされ、多数の市民に暴行を受けて死亡したと伝えている。しかし、女性の死亡後もファントム・バーバーの報告は後を絶たないという。

   インドの英字新聞「hindustan fimes」の取材に対し、ウッタル・プラデーシュ州の地元警察は「毎日幽霊や悪魔に髪を切られたという電話があり、仕事にならない」とコメント。さらに、次のように答えている。

「当初は本当に犯罪かと考えていたが、今のところ確認されているのは子どもが悪戯で母親の髪を切っていた例だけだ。犯人の姿を見ているのは被害者だけで、そもそも女性が本当に髪を切られているのかすらわからない」

   犯行現場で犯人の手掛かりが見つかることもなく、これまでに犯人とされるような人物が逮捕されてもいない。警察は女性たちの自作自演か近親者の悪質な悪戯だと考えているようだ。

無責任な噂で集団パニックに

   しかし、これほど多くの人たちが同じような被害を訴えるのはなぜなのか。米「タイム」誌の取材の中で、全インド医科大学(AIIMS)精神医学部のスディール・カンデルウォール教授は「集団パニックだ」と指摘する。

   教授は過去にもインドではサルの怪人に襲われたと数百人が被害を訴えた事件や、海水が甘くなるといううわさが流れ人々が海に殺到した例を挙げ、

「大勢の人間がいる環境では、緊張や不安を感じさせる事件は無責任に広められ、さらにパニックを広げていく」

と警告。「解決するには幽霊や魔女に髪を切られたというような噂を広めないこと」と答えている。

   日本でも集団パニックは規模こそ小さいもののしばしば起きている。2013年には兵庫県で女子高生18人が次々に過呼吸となり救急搬送する事件があったほか、2006年にも千葉県で女子中学生11人が体調不良で連鎖的に倒れる事件が確認されていた。

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