同人誌即売会「コミックマーケット92」(通称コミケ)が始まった東京ビッグサイト(東京都江東区)と、全国高校野球選手権大会の熱戦が繰り広げられている阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)。東西の全く異なるイベントで2017年8月10日夜、同時間帯に「徹夜組」が出現したとして、ツイッターなどインターネット上で話題になっている。
コミケは毎年のことだが、甲子園ではどうして――。J-CASTニュース編集部は、高校野球の大会本部に理由を聞いた。
前夜21時には行列が球場から飛び出ていた
コミケの開催前日となった8月10日夜、東京ビッグサイト前には開場まで夜通し待機する人たちの姿があった。徹夜の入場待ちは本来、運営側に禁止されている。
「コミックマーケットでは深夜来場は認めておりません。絶対に深夜来場をしないようにお願いします。すみやかにお帰り下さい」。主催者の「コミックマーケット準備会」は10日、公式ツイッターでそう注意喚起していた。
10日夜、東京の天気はあいにくの雨。人混みで汗をかき、風呂に入らず、雨に濡れ...ツイッター上では「衛生面」について心配する声もあった。幸い、トラブルは発生しなかったようだ。
同じ頃、遠く離れた阪神甲子園球場に別の徹夜組が殺到していた。ツイッターユーザーの「だーにし!11日選抜!!14勝9敗」(@baseball_kero)さんは、21時半頃に球場に到着し、
「明日朝イチ甲子園に行こうとしてる皆様。すでに列は阪神高速を超えております。経験上このパターンやと夜中には駅前まで列が伸びます!非常にやばいです」
と報告。その後も「これは始発でも入れない可能性がw」「当日来てもほぼ難しそうです...」と、現地の様子を伝えていた。
「だーにし!」さんは11日、J-CASTニュース編集部の取材に応じ、
「良い席を取ろうと思ってシートを貼りに行ったのですが、想像していた以上の人で良い席を取るのは諦め、正直萎えました。まだ前やったので席は取れるとは思ってましたが、どのタイミングで列整理が来るか分からないのでちゃんと並べるか不安でした」
と振り返った。
東のコミケ、西の甲子園――。同じ時間帯に「徹夜組」が出現したことで、ツイッターには2つを結び付ける声が相次いで寄せられた。
「コミケで徹夜組が続出しているようですが、甲子園球場前でも徹夜組が大量発生しています」
「明日からはコミックマーケットもあるんですね。東西で徹夜組が多数出ているという...(東は徹夜禁止ですが)」
「コミケは徹夜禁止だけど甲子園は徹夜禁止じゃないの?」
「Twitterでコミケの徹夜は死ぬほど叩かれてるのに甲子園の徹夜はヤベェしか無くて笑ってる」
優勝経験校同士の対戦で人出は「かなり多かったです」
高校野球ファンはなぜ、そこまでして球場に入りたかったのか。理由は、翌11日の対戦カードにあった。
第1試合 中京大中京(愛知) 対 広陵(広島)
第2試合 横浜(神奈川) 対 秀岳館(熊本)
第3試合 興南(沖縄) 対 智弁和歌山(和歌山)
第4試合 大阪桐蔭(大阪) 対 米子松蔭(鳥取)
春夏連覇へ向け盤石の布陣を整えた大阪桐蔭、選手権最多7度の優勝経験を持つ中京大中京、春に3度優勝経験のある広陵、3季連続で4強の秀岳館、強力打線を擁する横浜や興南、智弁和歌山...。名門校や強豪校同士の対戦が目白押しの1日だったのだ。
全国高校野球選手権大会本部の広報担当者は8月11日、J-CASTニュース編集部の取材に応じ、徹夜組の様子についてこう答えた。
「この時期のお盆や土日は毎年、朝からたくさんの方が球場に来ます。こちらも(『徹夜組』の)正確な数を数えておりませんので、何とも言えません」
その上で、
「ただ、今日のカードは優勝経験校同士などでしたし、特に人が多かったです。『徹夜組』の方も多かったと思います。前日や前々日と比べ、かなり多かったですよ。(祝日の11日に対して)平日だったというのもありますが」
とも述べていた。
阪神甲子園球場は実際、8月11日朝6時半に今大会初の「満員通知」を出したと公式サイトで発表している。テレビ中継で確認する限り、観客席は外野席も含めて第1試合から第4試合までぎっしりと埋まり続けており、大声援は途絶えることなく球場全体にこだましていた。
「メディアでも騒がれた好カードで、試合内容も面白かったのでかなり熱気に溢れてました」
14時半頃まで球場で観戦していたという「だーにし!」さんも、取材にそう回答していた。