若者の加入者増える、転職時に「積立金」持ち運びも
年金というと、若い時からコツコツ積み立てておくことが必要だが、iDeCoの場合は40~50歳代からの加入者も少なくない。60歳から給付金を受け取るには10年の通算加入者期間が必要だが、「たとえば、iDeCoは公的年金が支給される60~65歳までのつなぎ資金として受け取ることもできます。税の恩典とあわせれば、50代の人でも加入するメリットは見込めます」と説明する。
月々の掛け金をみると、自営業者や学生らにあたる第1号加入者は5000円~1万5000円が48.9%を占めるが、一方で6万5000円も19.6%と多く、「自営業にとって、節税効果が大きいからでしょう」とみている。
一方、若者層もiDeCoへの関心を高めているようだ。国民年金基金連合会も、「若年層の加入者は増える傾向にあります」と話す。
ベンチャー企業や中小・零細企業などには企業年金がなかったり、あるいは転職先の会社に企業年金がなかったりするケースでも、iDeCoであれば、貯めた資金が持ち運びできる。「掛け捨ての状況で放たらかしにされることを防ぐことができます。それもあって、運用指図者(掛け金を払わず、貯まった年金資金だけを運用している人)の利用も少なくありません」と説明する。
とはいえ、iDeCoにも「弱点」はある。ひとつは積み立てをはじめたら、中途解約できないこと。もう一つは手数料だ。
iDeCoには、さまざまな手数料がかかる。主には国民年金基金連合会に支払う手数料と、iDeCo口座を開設する銀行や証券会社などに支払う手数料、投資信託で運用した場合の信託報酬、年金給付時の受け取り手数料がそれ。少額ではあるが、長期運用なので長い目でみるとかなりの差が出てくる可能性もある。
国民年金基金連合会への手数料は、加入手数料がある。初回時のみ最低2777円が必要。加えて、毎月103円(税込)の事務手数料がかかる。
委託先の銀行などには、月々ゼロ~600円程度の管理手数料が必要。また投資信託で運用する場合には、商品ごとに年数%の信託報酬がかかる。給付を受けるときにも手数料がかかる。たとえば、管理手数料がゼロ円でも給付時の受け取り手数料が高かったり、あるいはiDeCo口座を他の金融機関へ変更する場合に手数料を求められたりすることもある。
国民年金基金連合会は2017年8月1日から、新たにテレビCMを展開中。「PR効果で、さらに加入者を増やしていきたい」と話している。