「容認方針」撤回に追い込まれる
具体的には7月13日に神津里季生会長が安倍首相に会い、条件付きで高プロを容認する意向を示した。具体的には、(1)年104日以上の休日、(2)労働時間の上限設定、(3)終業から始業までの間に一定の休息を確保する勤務間インターバル、(4)年1回の定期健康診断とは別の臨時の健康診断――のいずれかを講じることを法案に盛り込むよう求め、安倍首相も基本的に受け入れた。神津会長は「残業時間の上限規制と(高プロ導入が)一本化され、強行されるとの危機感があり、少しでも改善できるなら、との思いだった」と説明。
だが、神津会長が次期会長に指名していた逢見直人事務局長が政府と水面下で交渉を進め、組織内の根回しは十分ではなかった。民進党とのすり合わせもなく突き進んだことで、傘下の産別組織、地方組織から反対が噴出。7月27日の連合中央執行委員会で、「容認方針」の撤回に追い込まれた。この余波で、秋に1期2年の任期満了で退任するとしていた神津会長は留任、会長に昇格するはずだった逢見氏は会長代行に就くことになるなど、混乱はなお尾を引く。
高プロを巡っての大手紙の論調は、推進・支持の日経、読売、産経に対し、反対・慎重の朝日、毎日という構図だが、7月28日~8月1日にかけて載った社説(産経は主張)は、それぞれの立場から、連合の対応の拙さへの批判では共通している。
連合が負った傷は深い。