てんかんは脳の病気で、ひどい場合に発作でけいれんを起こすイメージが強いかもしれない。だが実は、てんかん発作の症状はさまざまな種類がある。
なかには激しい発作が一切なく、数秒間「ボーっとした」状態になるだけの症状もあり、なかなかてんかん発作と気づきにくいケースがあるという。
子どもに多く、動作を突然中断する
イラストレーターの井上ミノルさんが2017年8月3日付のツイッターの投稿で、長女が小学校入学前のあたりで「欠神(けっしん)てんかん」と診断されたことを明かし、ツイッター上で話題となった。「数秒間ボーっとしているだけ」で、「まさか病気だとは思わなくて、てんかんだと知ったときにはビックリした」という。投薬を始め、症状は出ていないと説明した。
欠神てんかんは子どもに多い――。慶応義塾大学病院の医療・健康サイト「KOMPAS」が、詳しく解説している。症状は、「突然、それまで行なっていた動作を中断し、呼び掛けに反応しなくなります」というもの。これが発作で、数秒から30秒程度で止まり、何もなかったように直前の動作を再開するという。発作は1日に10回から数十回起き、4~10歳の女児に多く見られる。
インターネット上には、6歳の男児が欠神てんかんと診断された母親のブログがあった。最初はやはり、ボーっとしているのが気になり、医療機関に連れて行ったところ分かったという。問診や脳波の検査を行い、投薬治療を始めた。発作は比較的早期に止まったが、定期的に検診を受けながら薬の服用を続け、量を少しずつ減らしていき、最終的には投薬を終了しても症状は出なくなった。そこから1年、男児が12歳のときに医師から「完治」と判断されたという。
適切な処置で多くは成人までに治る
欠神てんかんについて触れた井上さんのツイートに、「これは気づかない」「うちの子もしかしてこれなんじゃないかと疑ったよ」との反応が書き込まれた。小学3年生のころに実際に欠神てんかんになったという投稿者もおり、「私の場合は5秒弱ですが意識が飛びます」と具体的に説明していた。
欠神てんかんを含め、てんかん全体では3歳以下が発症する年齢としては最も多いと、大塚製薬とユーシービージャパンが運営するウェブサイト「てんかんinfo」では説明している。
「ウチの子は何だか注意力が散漫」「集中できない」「人の話を聞いていない」と感じることが多かったら、欠神てんかんを疑ってもよいかもしれない。適切な処置で多くは成人までに治ることが期待できるだけに、早めの対処が望ましいだろう。