「ゼロ円スマホ」追放運動の好影響
「スマホ代が高過ぎて他の消費に十分回っていない」との安倍政権の考えのもと、監督官庁の総務省が後押ししていることもあって格安スマホは伸びている。同省によると、3月末時点で1586万件となり、前年同期比で25%増えた。特に、「通信会社にとって長いおつきあいをお願いしたい若い世代が格安スマホに流れている」(大手の代理店)とされる。その傾向がにわかに変わるとは考えにくく、しばらくはドコモをはじめとする携帯通信大手の業績に逆風を浴びせそうだ。
ただ、ドコモの業績と株価が一本調子に落ちていくと見る人が多数派というわけでもない。2016年度の格安スマホが25%伸びたのは確かだが、伸び率は前年度の33%よりは鈍化しており、圧倒的な勢いを持っているわけではない。また、総務省が「コロコロ契約先を替える人が得をし、その分長期契約者が負担させられている」などとして、この間取り組んできた「ゼロ円スマホ」追放運動は、結果的に携帯通信大手が新規顧客獲得のために多大な販売促進費をかけなくて済むことになり、ドコモなどには朗報だ。
格安スマホが携帯通信大手の業績に影響するのは確かだが、それがどの程度なのかは見方が分かれている。