熱中症は室内の方が怖い! うなぎ屋に学ぶ簡単な対策

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

【健康カプセル! ゲンキの時間】(TBS)2017年8月6日放送
室内でも要注意! 熱中症は腸で守る


   連日の猛暑が続いている。熱中症で搬送される人もうなぎ上りだ。熱中症といえば灼熱の屋外でなるイメージがあるが、実は室内の方が怖い。

   死亡者の9割は室内で死んでいる。しかも高齢者が多い。「室内熱中症」を防ぐにはどうしたらよいか。番組では意外な飲み物、食べ物から様々な対策を紹介する。

  • 高齢者はエアコンを必ずつけよう
    高齢者はエアコンを必ずつけよう
高齢者はエアコンを必ずつけよう
  • 高齢者はエアコンを必ずつけよう

うなぎ屋の大将が実践している3つの対策

   2016年に熱中症で緊急搬送された人のうち、41%が家の中で発症している。65歳以上に限ると58%が家の中だ。さらに言えば、熱中症で死亡した人の約9割が室内で発症しているのだ。いかに「室内熱中症」が怖いか。そこで、番組スタッフは東京・日本橋の老舗うなぎ店「人形町梅田」を訪れた。店の大将・白石圭吾さんに、熱中症の予防策を学ぶためだ。

   うなぎを焼き続ける厨房の中はとにかく暑い。番組スタッフが熱中症危険度を測る「黒球付熱中計」で厨房の状態を調べると、最悪の「危険」をオーバー。この過酷な環境の中で、白石さんは1日8時間うなぎを焼き続ける。汗を拭くタオルと下着を1日に3回は取り替える。白石さんは仕事中に心がけている3つの熱中症予防策を教えてくれた。それがこれだ。

   (1)麦茶を小まめに飲む。麦茶を大きなペットボトルと足元に置き、1日4リットルくらい飲んでいる。

   (2)保冷剤をタオルに包み、首に巻いて冷やす。

   (3)ぬか漬けをつまんでは頻繁に食べる。

   これらの対策のどこがいいのか、帝京大学病院救命救急センターの三宅康史 医師がこう説明した。

三宅医師「麦茶は水分だけではなく、汗で失われたミネラルを補給することができます。さらにカフェインを含んでいないので利尿作用がなく、水分を失うことがないのです。また、麦茶の香り成分ピラジンには水分を失ってドロドロになった血液をサラサラにする働きがあります。白石さんが常温で飲んでいる点も素晴らしい。夏は冷やした物を飲みたいところですが、胃腸を壊してしまいます」

   麦茶は、熱中症予防には最適な飲み物なのだ。

三宅医師「白石さんは保冷剤をタオルに包き、首筋を冷やしていますが、冷やす位置がポイント。首の前側の脇の部分を冷やすと非常に効果的です。太い静脈がこの表面近くを走っているので、ここを冷やすと冷えた血液が体全体を冷やしてくれます」

   ぬか漬けについては、横浜市立大学病院の日暮琢磨医師がこう説明した。

日暮医師「ぬか漬けは汗で失われた塩分補給だけでなく、乳酸菌による整腸作用が大きいです。熱中症対策で重要な水分やミネラルは腸で吸収されます。ぬか漬けなどの発酵食品は、腸の機能を高めてくれる乳酸菌が豊富に含まれているのです」

   白石さんが行なっている3つの方法は、全部理にかなっているわけだ。

高齢者は暑さを感じるセンサーが鈍くなる

   ところで、室内の熱中症の死亡率が屋外の熱中症より高いのはなぜか。屋外で体を動かすなどして発症するのは「労作性熱中症」といい、若者や中壮年の男性に多い。数時間以内に急激に熱中症になるので、実は、処置すればすぐによくなる。一方、室内でかかるのは「非労作性熱中症」という。こちらは数日かけて徐々に発症する場合もあり、気づいた時は手遅れのケースが珍しくない、高齢者に多いのが特徴だ。

   どうして高齢者に多いのか、実験で確かめた。神奈川県厚木市にある東京工芸大学の「人工気候室」に、20代と60代の男性それぞれ3人ずつ入ってもらった。人工気候室は温度と湿度をコントロールできる。少しずつ温度と湿度を上げ、どれくらいで暑く感じるかを検証した。実験の結果、20代は気温29~31度(湿度は60%)で全員ギブアップ。ところが60代は、気温29度(湿度64%)で1人がギブアップしたが、残り2人は32度を超えても平気だった。それ以上は危険なためドクターストップになった。60代の1人は「ちっとも暑くない。もっと暑くしていいよ」とまだ続けたがった。

   20代と60代では暑さの感じ方に差があるのだ。三宅医師が解説した。

三宅医師「皮膚に暑さを感じる感覚器がありますが、高齢になると感覚器が衰えて暑さを感じにくくなる。また、高齢者と若者は基礎代謝が違います。体が作り出している熱の量が若者は大量、高齢者は少量なのです。だから、高齢者は暑い環境の方がむしろ心地よくなります。しかし、暑さを不快に感じないとはいえ、体は熱気にさらされています。しかも高齢者は汗の量も減ってきますから、体内の熱気を逃がしにくくなります」

   60代の全身の汗の量は20代の 85%だ。高齢者は体を冷やす機能が衰えている分、熱中症になりやすいのだ。

エアコン嫌いの人でも「つけっぱなし」で寝させろ

   では、高齢者が室内での熱中症リスクを下げるにはどんな対策をとればよいのだろうか。住環境と熱中症の関係を研究している慶応義塾大学の伊香賀俊治教授はこうアドバイスした。

伊香賀教授「体で温度を感じる感覚が衰えていますから、室内に気温・湿度計をよく見える壁にかけておくことです。そして、気温が28度、湿度が70%を超えたら迷わずエアコンをつけるのです。高齢者の中にはエアコンが嫌いだという人がいますが、命に関わるので絶対につけてください」

   ここで、伊香賀教授はクイズを出した。夜寝ている間の賢いエアコンの使い方は、次のうちのどれか。

   (1)寝る前に部屋を冷やして、寝る時に切る。

   (2)タイマーを2時間にセットして寝る。

   (3)つけっぱなしで寝る。

   答えは「つけっぱなしで寝る」だ。タイマー2時間だと、エアコンが切れた後に部屋の温度が上がってしまう。そうなると、夜中に目が覚めて睡眠不足になる。睡眠不足の次の日は熱中症になりやすいので要注意だ。温度を27~28度の高めに設定し、風を直接体に当てないようにして朝までつけっぱなしにするのが一番よいそうだ。

MCの渡辺満里奈さん「私の親もエアコン嫌いです。さっそく実家に行って付けさせます」
姉妹サイト