熱中症は室内の方が怖い! うなぎ屋に学ぶ簡単な対策

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

高齢者は暑さを感じるセンサーが鈍くなる

   ところで、室内の熱中症の死亡率が屋外の熱中症より高いのはなぜか。屋外で体を動かすなどして発症するのは「労作性熱中症」といい、若者や中壮年の男性に多い。数時間以内に急激に熱中症になるので、実は、処置すればすぐによくなる。一方、室内でかかるのは「非労作性熱中症」という。こちらは数日かけて徐々に発症する場合もあり、気づいた時は手遅れのケースが珍しくない、高齢者に多いのが特徴だ。

   どうして高齢者に多いのか、実験で確かめた。神奈川県厚木市にある東京工芸大学の「人工気候室」に、20代と60代の男性それぞれ3人ずつ入ってもらった。人工気候室は温度と湿度をコントロールできる。少しずつ温度と湿度を上げ、どれくらいで暑く感じるかを検証した。実験の結果、20代は気温29~31度(湿度は60%)で全員ギブアップ。ところが60代は、気温29度(湿度64%)で1人がギブアップしたが、残り2人は32度を超えても平気だった。それ以上は危険なためドクターストップになった。60代の1人は「ちっとも暑くない。もっと暑くしていいよ」とまだ続けたがった。

   20代と60代では暑さの感じ方に差があるのだ。三宅医師が解説した。

三宅医師「皮膚に暑さを感じる感覚器がありますが、高齢になると感覚器が衰えて暑さを感じにくくなる。また、高齢者と若者は基礎代謝が違います。体が作り出している熱の量が若者は大量、高齢者は少量なのです。だから、高齢者は暑い環境の方がむしろ心地よくなります。しかし、暑さを不快に感じないとはいえ、体は熱気にさらされています。しかも高齢者は汗の量も減ってきますから、体内の熱気を逃がしにくくなります」

   60代の全身の汗の量は20代の 85%だ。高齢者は体を冷やす機能が衰えている分、熱中症になりやすいのだ。

姉妹サイト