中学バレーボールの九州ブロック大会で、全国大会の出場校が「抽選」で決定するという珍事が起きた。台風5号の影響で、2017年8月7日に行われる予定だった準決勝以降の全試合が中止となったためだ。
しかし、なぜ抽選なのか。J-CASTニュースは、大会を運営する九州中学校体育連盟の理事長に尋ねた。
「抽選外れた選手たちのことを思うと...」
17年の全国中学バレーボール大会は、8月22日から宮崎県で開幕する。これは全国9ブロックの予選大会を突破した男女各36チームが集まり、日本一を決める大会だ。
九州ブロックからは全国大会に出場するのは5校。今年の大会では、準決勝以降の試合が中止になった影響で、トーナメントを勝ち残っていた上位4校が「同時優勝」という異例の結果となった。
では、残りの1校をどうするか。本来は、準々決勝で敗退した4チームがトーナメント形式で試合を行い、それに勝ち残ったチームが全国大会に出場する予定だった。しかし、台風の影響で試合予定が変わった影響で、この「敗者復活戦」も中止になった。
そのため、準々決勝敗退4チームの代表者が抽選を行い、全国大会の出場校を決めることになった。結果、抽選で出場を決めたのは長崎県の郡(こおり)中学校だった。
こうした決定方法について、ツイッター上では「ありえん」「抽選で落ちた学校の子がどれだけ苦しい思いで1年間頑張ってきたことか」といった複雑な声も漏れている。また、元女子バレーボール日本代表の大山加奈さん(33)も、7日夜に更新したツイッターに、
「全中いけるかいけないかが抽選って... 抽選外れた選手たちのことを思うと胸が苦しくなる...」
と投稿。続けて、「運営側も苦渋の決断だったのだろうし 安全面はなによりも最優先だから仕方ないのかもしれないけど...つらい」と漏らした。
予備日は「設けていなかった」
今回の九州大会では、5枠目の出場チームだけでなく、同時優勝となった4チームの「順位」も抽選で決まった。
今年の全国大会の運営団体の一つ、宮崎県中学体育連盟の担当者は8月8日のJ-CASTニュースの取材に対し、全国大会の展開に「抽選の影響がないとは言い切れない」と話す。
「なぜなら、総当たり式の予選グループの組み合わせを決定する際に、各ブロックの1位同士が重複しないようにするからです」
つまり、九州大会の「抽選」で運よく1位となったチームは、比較的弱い相手と当たりやすく、運悪く4位になったチームは、逆に強い相手と当たる可能性が高くなるということだ。
そもそも、なぜ「抽選」になったのか。九州大会を運営する九州中学校体育連盟の理事長は取材に対し、
「まず、予備日は設けていませんでした。台風の接近を受けて会議を開きましたが、7日で大会を終了する日程は変えられないとの結論になり、抽選で出場校を決めることになりました」
と説明した。なお、大会規則の中にも、「大会の進行状況などに応じて、抽選で出場チームを決める場合もある」という趣旨のルールを設けているという。
また、上述の宮崎県中学体育連盟の担当者も、「天候に左右される屋外競技であれば、予備日は設けるのですが、今回は室内競技だったので...」と話す。その上で、
「私は15、6年ほど九州大会の運営に関わっていますが、今回のように抽選で決めるケースは初めてです」
としていた。