東芝、監査法人、金融庁...それぞれに思惑
もし8月10日までに東芝が提出する有報の監査意見が「不適正」であれば、秋にも予定される東証審査で、東芝株が「上場廃止」と決められる可能性が極めて高くなり、東芝の再建の目算は大きく狂う。東証の立場に立てば、上場廃止の引き金は自ら引きたくはないが、「不適正なら上場廃止以外の結果は出しようがない」(金融庁幹部)。逆に、もう一方の「限定付き適正意見」であれば、「あえて上場廃止の引き金を引く必要がなくなる」(同)。
不適正イコール上場廃止となるわけではないが、実際には上場廃止が濃厚になった時点で信用不安を招き、取引先離れが起きるのは間違いない。ドミノ的に取引先や金融機関が離れ、東芝はとたんに資金繰りに窮することになる。それは関係者の誰も望まないシナリオだ。
こうした事態を受け、PwCあらたには、監査法人を監督する金融庁からも横やりが入っているという。もし不適正が出るようなら、「合理的な理由がない」と東芝は提訴に踏み切るだろう。そして、今度は一転、PwCあらたの監査法人の説明責任を問う声が高まるのは必至だ。綱引きの行方はどうなるのか。難しい決断まであと数日だ。