世界陸上の男子100メートル決勝(日本時間2017年8月6日、ロンドン競技場)が行われ、アテネ五輪金メダリストのジャスティン・ガトリン(35=米国)が9秒92で優勝した。「人類最速の男」ウサイン・ボルト(30=ジャマイカ)のラストランは、9秒95の3位に終わった。
競技場内では、ガトリンにブーイング、ボルトに万雷の拍手が浴びせられた。ラストランを終えたボルトがたたえられるのは当然にしても、優勝したガトリンがけなされるのはなぜなのか。インターネット上ではこうした声も上がったが、どうやら過去に起こしたドーピング騒動が尾を引いているようだ。
ボルトには「ウサイン・ボルト」コール
2016年のリオデジャネイロ五輪では、ボルトが9秒81で1位、ガトリンが9秒89で2位だった。この日は序盤から、ガトリンがボルトの前に出た。いつものような終盤の伸びに欠けたボルトは、最後までその差を詰められなかった。
競技場内の掲示板でガトリンの名前が1位に表示された瞬間、客席からブーイングが巻き起こった。ガトリンと抱擁した後、スタンドの前をボルトが歩き始めると、ブーイングは「ウサイン・ボルト」の大声援に一変する。万雷の拍手が鳴りやまなかった。
ツイッターやネット掲示板など、インターネット上ではこの異様な状況に疑問の声が上がった。
「ボルト最後で勝ってほしい気持ちもわかるけど、勝ったのはガトリンなんだからブーイングは良くない」
「世界的英雄だもの。分かる。分かるけど。ブーイングだけはやめて欲しかった」
ゴール直後、雄叫びを上げ口元に人差し指を当てる仕草をしたガトリンには「ガトリンのブーイングする観客に対する『黙れ』のポーズ、かっこよき」という声も上がった。ガトリンはボルトより5歳年上だから「信じられる?30歳のボルトを破ったのは、なんと35歳のガトリン」という声も寄せられた。