スウェーデン発の家具量販店「IKEA(イケア)」がフォトスポット化している――。インターネット上では少し前からこんな指摘がよく見られるようになった。主に若い女性たちが中心となり、店内にあるルームセットや商品を使って「SNS映え」する写真を撮っている...という話なのだが、中でも最近になって注目されているのが「ショッピングカートに乗って写真を撮る」行為だ。
実際にツイッター等で検索をかけると、女子高生くらいの女の子たちがカート内に土足で乗り込んでポーズをとっている写真が散見される。
「カートに乗って走り回るのが1番楽しかった」
「カートに乗って走り回るのが1番楽しかったッッ笑」
「2人ともでかいカートに夢中 (笑) 」
「カートで遊びまくったね(笑)」
「大きいカートは外国観満載 写真いっぱい撮れたし楽しすぎるIKEA」
SNS上では、IKEA店内でショッピングカートに乗りながら「はっちゃける」若い女性たちが、写真とともにこんな感想を投稿している。商品のぬいぐるみと一緒に乗っていたり、2人で小さくなって乗りこんでいたり、セルカ(自撮り)棒を駆使しながらカート内におさまってみたりと写り方はさまざまで、各々「SNS映え」するベストショットを模索しているようだ。
「カートに乗りこむことが、どうしてSNS映えにつながるのか」という疑問を抱く人もいるかもしれないが、海外のファッション誌やミュージックビデオでは度々登場する設定でもある。若い女性たちの間では、ただ遊んで面白いというだけでなく「オシャレ」なイメージがあるようだ。
IKEAのカートはスーパーなどで見かける一般的なものよりもサイズが大きいため、大人であっても乗ろうと思えば乗ることができてしまう。加えて「セルフサービスエリア」と呼ばれる組み立て前の家具が並ぶエリアは、大きな商品をのせたカートを動かせるように通路幅が広くなっており、人もそれほど多くないので、撮影には打ってつけなのだろう。実際、投稿された写真の多くは同エリアで撮影されている。
「店内での撮影自体はOK」だけど「危険行為はNG」
しかし、当然のことではあるが、ショッピングカートは大人が乗るために用意されているのではない。そのため、こうした投稿に対しては、
「IKEAのカートに入る人の気持ちが分からない...」
「流行ってんの??普通にダメじゃね??」
「最近の中高生モラル低すぎ。IKEAはあなた達の撮影所じゃないですよー」
「IKEAのカートに乗って写真を撮る若者怖すぎる」
などと問題視したり、違和感を訴えたりする声が上がり、徐々に注目を集めるようになった。
この「カート撮影」について、IKEAは把握しているのだろうか。J-CASTニュースが2017年8月1日にイケア・ジャパンに取材したところ、広報担当者は「インスタグラムでの画像の投稿や『彼氏とイケアなうに使っていいよ』といった投稿が増えているのは把握しております」としながらも、カート撮影自体については「把握をしておりませんでした」と回答した。
担当者によると、ショッピングカートには15キログラムまでの重量制限があり、ストア内やベビーカーにも記載の上、告知を行っているという。さらに「危険な行為が見受けられた場合は、従業員から危険な旨、お伝えをしています」と説明した。
ただ、店内での写真撮影自体は禁止していないという。むしろ「危険行為であったり、他のお客様のご迷惑になったりするような状況でなければ、問題ありません」とのこと。ネット上ではフォトスポットとして楽しむことに対しても疑問の声が一部でみられたが、広報担当者は、
「イケアは『より快適な毎日を、より多くの方々に』をビジョンとしており、多くのお客さまにストアでのお買い物を楽しんでいただきたいと願っています。日本のお宅にあったルームセットで、撮影を楽しんでいただければと思います」
と話しており、危険・迷惑行為でなければ、写真撮影そのものは好意的に受け止めているようだ。