発達障害と向き合うピアニスト オーケストラと共演できた感動物語

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中居正広の金曜日のスマイルたちへ(TBS系)2017年7月28日放送

   情感豊かなピアノ演奏に、魅了された聴衆からは「心に響く」「涙が流れてしょうがない」との言葉が出てくる。ピアニストの名は、野田あすかさん(25)。22歳の時、自閉症スペクトラムという発達障害と診断された。

   好きなことにはとことん集中できるが、興味がないと全く何もできない。対人関係がうまく築けない。野田さんの場合は、ほかにも苦労がある。大好きなピアノで1曲弾けるようになるまで、とても多くの時間とプロセスを要するのだ。

  • 渾身のピアノ演奏の裏には多くの苦労があった
    渾身のピアノ演奏の裏には多くの苦労があった
  • 渾身のピアノ演奏の裏には多くの苦労があった

1曲マスターするのに1か月かかる

   野田さんは難しい曲でも、見事に弾きこなす。だが実は、楽譜が読めない。

   発達障害の診断を受けた際、視覚情報がうまく処理できないと分かった。人の顔がよく分からず、画像認識もすぐできない。以前自宅を訪れた番組ディレクターでも、再訪の際は誰が来たか分かっていなかった。そのため、譜面に並ぶ音符や休符、音の強弱を示す記号を瞬時に理解しながらピアノを弾けない。

   曲をマスターするまでの手順を、野田さんが再現した。すぐにピアノに向かうわけではなく、それまでの準備に大変な労力を要する。最初は楽譜の「ド」の段に色を塗って識別しやすくした。すると携帯電話と取り出し録音を始めた。野田さんが、右手で引くパートの音階を「1段目。シ、ミ、ラ、レ、ソ、フラット」と自分の声で読み上げる。左手パートも同様に録音した後、録音内容を聞きながら紙に文字起こしした。独自の譜面をつくったのだ。次にカスタネットを並べた自作の「リズム装置」を使って、叩きながら曲のリズムをつかむ。

   今度はエレクトーンの出番だ。録音機能を利用して、自作した文字譜面を見て片手ずつ反復練習する。録音した左手パートを聞きながら右手で弾いて合わせる。次に逆の手で同じようにする。これで左右いずれも弾けたことになる。

   あとは繰り返し練習するのだが、ここまで半日かかった。しかも楽譜の1段目を終えたに過ぎない。1曲完成させるには、1か月は費やすという。

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