米国の医薬品規制や食品衛生の維持を担う米食品医薬品局(FDA)は2017年7月28日、喫煙に関連した病気や死亡の大幅削減を目指す取り組みとして、紙巻きタバコに含まれるニコチン量を規制する計画を発表した。
「ライト」タバコとは異なる
FDAによると、米国ではタバコに由来する病気による死亡は毎年48万人以上に達するとされ、医療費などのコストは年間3000億ドル以上に達しているが、その大半はニコチン依存症によって喫煙をやめられないことに起因する。
また、成人喫煙者の約90%が18歳になる前に喫煙を開始し、毎日約2500人の若者が最初の喫煙を始め、以降ニコチン依存症になっているという。
そこでFDAが提案しているのが、紙巻きタバコなどに含まれるニコチン含有量を依存症が起きないレベルにまで減らすことだ。フィルターを通して空気を混入させてニコチンを薄めた、いわゆる「ライト」などと表示されたタバコを推奨するということではなく、実際にタバコ葉に含まれるニコチン量を削減する。
これによって喫煙を始めても依存症にならず、現在喫煙習慣のある人もタバコからのニコチン摂取をやめることができるようになるとしている。
重要なポイントとしてFDAは、
「可燃性の紙巻きタバコの煙を介してニコチンを摂取すると、その中毒性異常に発がん物質などの有害物質を吸引することになるのが最大の問題であり、電子タバコなどの代替手段からニコチンを摂取することを想定している」
とコメント。具体的な規制値や代替手段の検討に入る。しかし、米国メディアでは「中毒性をなくすためには約85~90%のニコチンを削減する必要がある」とする試算や、代替手段として電子タバコを挙げていることに疑問の声も報じられており、FDAの見通しが甘いのではないかと指摘されている。